電源容量や発熱などに問題意識はあっても未対策のユーザーが多い中,一部のユーザーはグリーンITへの具体的な対策を取り始めている。その中で多く取られている対策としては「ブレードサーバーの導入」が最も多く,2位が「仮想化技術などによるサーバーの統合」であることが,ITpro Researchモニターを対象に行った「企業のデータセンター利用に関する調査」から見えてきた。

 本連載は,データセンターの抱えている問題を,省電力や熱対策といったITの環境問題に対する企業の姿勢や取り組みである「グリーンIT」に焦点を当てて,その実態を紹介するもの。最終回は,グリーンITへの具体策として省電力対策や熱対策の実施状況などを中心に紹介する。

半数以上が3年以内にサーバーの増設を予定

 データセンターが電源容量やサーバーの発熱といった問題を解決できる手段の1つがデータセンターの増設や移転。その計画を聞いたのが図1である。「新しいデータセンターの設置」や「データセンターの移設」を3年以内に計画しているユーザーはさすがに少なく,それぞれ合計で10%程度。「外部のデータセンターの利用」を計画しているユーザーも15%と少ない。

 逆に,「サーバー増設」を3年以内に計画しているユーザーは約57%に上ることから,既存のデータセンターでサーバーを増設しようとするユーザーが多いことがみえてくる。

 その一方で,グリーンIT対策の1つになる「サーバー/データセンターの統合化」を計画しているユーザーもいる。3年以内に統合を計画しているユーザーが合計で23.3%おり,今後こういったユーザーが増えることに期待したい。

図1●データセンターの増設,移転,変更の計画
図1●データセンターの増設,移転,変更の計画
新しいデータセンターの設置やデータセンターの移設を3年以内に計画しているユーザーは合計で10%程度と少ないが,逆に3年以内にサーバー増設を予定しているユーザーは合計で約57%に上る。

 省電力対策や熱対策の実施状況を見る前に,その前段階であるデータセンターにおけるシミュレーションやコンサルティングの利用状況を見てみよう(図2)。

 アンケートで聞いたのは,「データセンターの全社的な最適化」,「発熱シミュレーション」,「省電力コンサルティング」の3つ。最も利用が多かったのが「データセンターの全社的な最適化」だが,それでも「利用中/利用済」が7.6%,「今後利用することを策定済」が4.1%と合計でやっと10%を超える程度の利用しかなかった。

 「発熱シミュレーション」と「省電力コンサルティング」では,「利用中/利用済」と「今後利用することを策定済」を合計しても5%に満たない。発熱対策や省電力対策にコンサルティングやシミュレーションといったサービスが利用されていないことがわかる。

図2●データセンターにおけるコンサルティング/シミュレーションの利用状況
図2●データセンターにおけるコンサルティング/シミュレーションの利用状況
データセンターの熱対策や省電力対策の一環としては,コンサルティングやシミュレーションといったサービスの利用は進んでいない。