「サーバーの発熱や電源容量に対して問題意識はあっても,具体的な対策はこれから」。ITpro Researchモニターを対象に行った「企業のデータセンター利用に関する調査」をまとめた結果である。

 この連載では今回から5回にわたり,データセンターの抱えている問題を,省電力や熱対策といったITの環境問題に対する企業の姿勢や取り組みである「グリーンIT」に焦点を当てて,その実態を紹介する。

 なお,今回の調査はITpro Researchモニターを対象に9月2日から19日にかけてWebで調査を行った。アンケートの回収数は352であった。

ITの省電力化を打ち出している企業は4分の1

 まずは,グリーンITに対する企業の基本姿勢を見てみよう。企業として「CO2削減目標や行動規約が設定されているか」,さらにその一環として「IT機器の省電力化によるCO2削減も求められているか」を聞いたところ,CO2削減目標や行動規約が設定されていない企業が43.3%もあった(図1)。残念ながら,環境問題を行動指針に入れている企業が大多数という段階にはなっていない。

 ITまで対象としていないがCO2削減目標や行動規約を設定している企業は32.6%あった。しかし,環境問題に関心のある企業でも,ITでの対策には目を向けられていない企業が多い。IT機器にまでCO2削減を求めている,グリーンITに前向きな企業は24.1%と少ないのが実情だ。

図1●企業としての環境問題に対する姿勢。省電力化によるCO2削減をITにまで求めている企業は24.1%とまだまだ少ない。
図1●企業としての環境問題に対する姿勢。省電力化によるCO2削減をITにまで求めている企業は24.1%とまだまだ少ない。

 この結果を従業員数による規模別でみると,従業員が1000人以上の企業では,ITにまで省電力化によるCO2削減を求めている企業が32.4%に増え,ITは対象としていないがCO2削減目標や行動規約を設定している企業も40.8%となる。大企業の方が環境問題への関心が高くなってはいるが,ITでの対策にまでは目を向けていないという傾向は同様だ。従業員が1000人未満の企業では,ITでの対策以前にCO2削減への意識そのものが低い結果となった。

図2●企業規模別の環境問題に対する姿勢。従業員が1000人を超える大企業の方がCO2削減に対する意識は高く,ITにまで目を向けている企業は32.4%ある。
図2●企業規模別の環境問題に対する姿勢。従業員が1000人を超える大企業の方がCO2削減に対する意識は高く,ITにまで目を向けている企業は32.4%ある。