英国の銀行共同支払決済機構(APACS)は英国時間10月3日,クレジットカード詐欺についての調査結果を発表した。それによると,2007年上半期における英国のクレジットカード詐欺による被害総額は,前年同期から26%増加している。特に,英国内で発行されたカードが英国外で不正に使用された詐欺による被害額が126%も増加しているという。

 国外におけるカード詐欺被害が増加しているのに対し,英国内のカード詐欺は引き続き減少する傾向にある。国内のカード詐欺被害額は前年比で4%減少しており,小売店における被害額は11%,現金自動預け払い機での被害額は57%減っている。APACSは,被害額が減少した理由として,「国内ではICチップと暗証番号を使った認証技術の導入により,カード詐欺を働くことが困難になっているため」と分析している。

 また,APACSはオンライン・バンキング詐欺による被害総額も発表した。それによると,2007年上半期の被害総額は750万ポンドで,前年同期の2240万ポンドから67%減少している。大幅に減少した理由は,オンライン・バンクが詐欺行為を検出して回避するために,さまざまな策を実行したためだという。

 APACSの広報責任者を務めるSandra Quinn氏は次のように説明する。「数年前は,犯罪者がカードやカードの情報を盗んで,これを英国内の小売店や現金自動預け払い機で不正に利用する手口が主流だった。現在は,ICチップと暗証番号が普及したため,これらの犯罪は国外で行われるようになった。偽の磁気ストライプで作ったカードは,特にICチップや暗証番号をまだ導入していない国で使われている」。

 APACSによれば,欧州の銀行業界は,すべてのクレジット・カードへ2010年までにチップ導入することを目標に掲げているという。

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