調査内容 システム・インテグレーターが手がけるインフラ系分野の認知率
調査時期 2007年7月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 2026件(794件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数

 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に行った,国内の主なシステム・インテグレーター(SIer)68社の手がけているインフラ系のビジネス領域7分野(「調査概要」を参照)の認知度では,NTTデータが7分野の平均認知率41.9%でトップ,以下日本アイ・ビー・エム・サービス(ISC-J,同39.1%),NECフィールディング(同36.8%),伊藤忠テクノソリューションズ(CTC,同36.4%),NTTコムウェア(同35.0%)がベスト5。富士通系の最上位は富士通エフサス(旧富士通サポート&サービス)の33.7%,日立系は日立情報システムズの31.3%が最も高い平均認知率だった。

 分野毎の上位への進出度で見ると,NTTデータが全7分野で上位4社以内に入り独走状態。これに次ぐのがISC-Jで,ネットワーク系(評価対象全68社の平均認知率29.3%)とインターネット系(同24.4%)以外の5分野で上位5社に入った。ISC-Jはインターネット系も5位と0.5ポイント差の6位だった。

 意外な健闘を示したのが三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)と東芝情報機器(TIE)。ともにセキュリティー系(全68社の平均認知率26.0%)で40%を越す認知率を得て上位3社に食い込んだ。両社はパソコン用暗号化ソフトを扱っているという共通点があり,このことがセキュリティー分野での認知度を高めたものと見られる。しかしそのほか,MDISは情報系(同28.8%),TIEはインターネット系でも高い認知率をマークし,それぞれ2分野で上位5社にランク入りした。

運用・危機対策系だけが高い富士通エフサス,情報系の認知率突出のリコー

 インフラ系のビジネス領域7分野では今回,他のSIerに認知率で5ポイント以上の大差を付けてトップという“特化型”のSIerはなく,ISC-Jがストレージ系(全68社の平均認知率17.6%)で2位に4.7ポイント差,連携基盤系(同26.4%)で4.5ポイント差を付けたのが最大だ。

 逆に1分野だけ認知率が高いSIerは,運用・危機対策系(全68社の平均認知率22.1%)トップの富士通エフサスだ。運用・危機対策系の認知率44.3%に対し,残りのインフラ系6分野の平均認知率は31.9%。しかもエフサスは,昨日紹介した業務アプリケーション系8分野の認知率も低い。SFA系,CRM系,物流系の14.8%が最高で,8分野の平均が13.3%だ。運用・危機対策系以外の14分野の平均認知率は21.6%で,運用・危機対策系だけが22.7ポイントも突出している。

 やや意外なことに,リコーもエフサスと同様に“一本柱”だ。情報系(グループウエアを含む)ではトップから2ポイント差の41.8%と上位につけているが,それ以外のインフラ系6分野の平均認知率は30.2%。業務アプリケーション系8分野もすべて20%台で,情報系を除く14分野の平均認知率は25.3%。情報系だけが16.5ポイント突出している。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,システム・インテグレーター(SIer)の主要企業68社について,各SIerがITビジネス分野のどの領域を手がけていると思われているのか(認知度)を聞いた。初回2006年10月調査,2回目の2007年1月調査(日経マーケット・アクセス2007年3月号「記事A19」参照)に次いで,6カ月ぶり,3回目の調査である。
 各SIerについて,【アプリケーション系】8分野(経営戦略・意思決定支援系,会計系,人事・給与系,SCM系,SFA・営業系,CRM・顧客関連系,生産管理系,物流系)と,【インフラ系】7分野(セキュリティー系,グループウエア/情報共有系,WAN/LAN/電話系,インターネット系(情報発信/電子商取引/マーケティング),ストレージ系,アプリケーション/システム間連携基盤系,運用/危機対策/ビジネス・コンティニュイティ系)の合計15分野を提示。取引や商談経験の有無に関係なく,回答者が知る範囲で,各SIerがその分野のITビジネス(サービス)を手がけていると思うかを聞いた。15分野とも空欄とした無回答者は,当該SIerを“知らない”ないし“視野に入れていない”と解釈して,有効回答数から除外している。提示したSIer68社すべてが,この基準で有効回答数30以上を獲得した。
 2007年4月調査から評価対象のベンダー/SIerリストを見直し,SIerではアビーム コンサルティング,アクセンチュア,ベリングポイント,EDSジャパン,菱洋エレクトロ,丸紅インフォテックなどを評価対象外とした。今回の7月調査ではNECトータルインテグレーションサービス(旧日電東芝情報システム)を追加した。NECソフト,NTTコムウェア,CSKシステムズについては,各地のグループ会社を含めて評価するよう求めた。評価対象企業のリストは,本調査の設問の原文とともに,日経マーケット・アクセスの有償会員向けサイト「日経MA-INDEX 企業情報システム」で公開している。
 調査実施時期は2007年7月中旬,調査全体の有効回答は2026件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は794件。

図●システム・インテグレーターが手がけているインフラ系7分野の認知率【セキュリティー系上位5社】   図●システム・インテグレーターが手がけているインフラ系7分野の認知率【情報系上位5社】
 
図●システム・インテグレーターが手がけているインフラ系7分野の認知率【ネットワーク系上位5社】   図●システム・インテグレーターが手がけているインフラ系7分野の認知率【インターネット系上位5社】
 
図●システム・インテグレーターが手がけているインフラ系7分野の認知率【ストレージ系上位5社】   図●システム・インテグレーターが手がけているインフラ系7分野の認知率【アプリケーション(システム)間連携基盤系上位5社】
 
図●システム・インテグレーターが手がけているインフラ系7分野の認知率【運用・危機対策/ビジネス・コンティニュイティ系上位5社】  
図●システム・インテグレーターが手がけているインフラ系7分野の認知率(各分野の上位5社)
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