米ABI Researchは英国時間9月4日,携帯電話規格「LTE(Long Term Evolution)」市場に関する調査結果を発表した。それによれば,LTEは2011年以降に世界のモバイル・インフラ市場の中心になるという。調査では,基地局の設置,増設,設備投資を含め2014年までの市場を予測している。

 レポートによれば,LTEは,ほかのブロードバンド無線技術との競争に直面している。ABIは,LTEがこの競争で優位に立つ要因として,フラットなアーキテクチャ,低遅延,幅広いSession Initiation Protocol(SIP)サービスの提供を可能にするIPベースの次世代ネットワーク「NGN(Next Generation Network)」などを挙げている。通信事業者による導入を促進するためには,LTEの技術と経済的な利点を明示する必要があるという。

 ABI ResearchのアナリストであるIan Cox氏は次のようにコメントしている。「無線ブロードバンド規格WiMAXを推進するWiMAX Forumが認証プログラムを強化したことで,2007年にはモバイルWiMAX対応製品が登場し始める。業界は,5MHz帯域幅で同様のパフォーマンスを提供するHSPA+にも取り組んでいる。周波数を追加しなければ,通信事業者は難しい選択を迫られる可能性がある」。

 Cox氏は,LTEによってもたらされるユーザーの利点としてSIP対応ネットワークを介してVoIPを含むブロードバンド・サービスが受けられることを挙げている。すべてのサービスがIPベースとなり,高速データ伝送速度と低遅延が実現され,固定ネットワークに匹敵するデータ転送速度でオンライン・ゲームが楽しめるようになるとしている。

 ベンダー側の利点としては,収益が減少する3Gに代わる新しい市場が開発できるとしている。

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