総務省は8月28日,世界7都市の通信サービス料金をまとめた「電気通信サービスに係る内外価格差調査」を発表した。日本の携帯電話料金は,通話時間やパケット通信などを考慮したモデル料金では平均的な水準であるが,1分当たりの通話料が割高な水準であるとしている。ADSLサービスの料金は,2001年以降6年連続で最低水準。固定電話料金は個別料金,モデル料金ともに平均的または低廉な水準であるとした。

 この調査では,東京(日本),ニューヨーク(米国),ロンドン(英国),パリ(フランス),デュッセルドルフ(ドイツ),ストックホルム(スウェーデン),ソウル(韓国)の7都市を対象に,2007年3月末時点の為替レートで通信料金の格差を比較している。調査では,各都市で最もシェアの高い通信事業者の料金について集計した。

 携帯電話については,東京におけるユーザーの利用実態を反映したモデルで月額料金を比較した。利用したモデルは,低利用者(月間で音声44分,メール6通,データ利用なし),中利用者(音声97分,メール100通,データ1万6000パケット),高利用者(音声246分,メール300通,データ67万パケット)の3種類。それぞれについて,最も低廉な料金になるプランを当てはめた。

携帯のモデル料金で日本は7カ国中4番目

 その結果,東京は低利用者,中利用者,高利用者の3モデルすべてで4番目に高額な都市となった。低利用者モデルにおける東京の月額料金は2900円。ニューヨーク,ロンドン,パリが東京よりも高額だった。最も高い都市はロンドンの月額4200円,最も安い都市はデュッセルドルフとストックホルムの月額1700円だった。中利用者モデルでは東京は月額5100円となった。低利用者モデルと同じく,ニューヨーク,ロンドン,パリに次ぐ料金だった。最高はパリの月額6000円で,最低はソウルの3300円である。高利用者モデルでは東京は月額9900円で,パリ,デュッセルドルフ,ストックホルムが東京を上回る料金となった。最も高額なデュッセルドルフは1万8600円で,最も低額なニューヨークは7200円だった。

 調査では,利用モデルとは独立した1分当たりの通話料金についても比較している。具体的には,各都市の平均的な通話時間を設定し,それを最も安くできるプランを当てはめる。無料通話時間を考慮した月額料金を通話時間で割った値を,1分当たりの通話料金として比較した。

 例えば,東京の平均的な通話時間は97分に設定した。NTTドコモではタイプMが最も安く,97分間通話した場合は月額約3800円。1分当たりの通話料金は39.4円/分となる。この料金は,48.2円のロンドン(通話時間は96分),40.9円のパリ(通話時間は154分)に次いで3番目に高額な結果となった。最も安いニューヨークは,通話時間が月672分で11.7円,2番目に低廉なソウルは19.2円(通話時間は160分)。東京と比べると,それぞれ約3分の1,約2分の1という価格水準である。なお,ニューヨークは着信側も課金されるため,1分当たりの通話料を2倍にして計算している。

 総務省はこの結果から,日本の携帯電話の通話料について「1分当たりの料金は高い水準にある」と結論付けている。

ADSLは日本が6年連続で最低料金

 ADSLサービスは月額料金,通信速度当たりの月額料金ともに2001年以降6年連続で,世界で最も低廉な料金となった。月額料金では,東京はNTT東日本とぷららネットワークスの組み合わせで3370円,ソフトバンクBBで2938円。2番目に低廉なソウルの4132円とも1000円前後の大差を付けている。最も高額なのはデュッセルドルフの5390円。日本に比べて2000円以上高い料金だった。

 月額料金を通信速度で割った「1Mビット/秒当たりの料金」でも,東京はNTT東とぷららで72円,ソフトバンクBBで59円と世界最低となった。最も高額なのはニューヨークで,1Mビット/秒当たり1490円と東京の20~25倍の料金だった。

固定電話はソウルが突出して安い

 固定電話はソウルが突出して低額で,月額基本料金は651円と日米欧の3~4分の1という結果だった。東京と欧米の都市との比較では,日本は比較的低廉といえる料金だった。

 東京における固定電話の基本料は,住宅用が1707円,事務用が2507円。ソウルを除く6都市では,住宅用が2番目に安く,事務用は3番目に安い料金だった。住宅用の料金では,ニューヨーク,ロンドン,パリ,デュッセルドルフが2000円を超える料金で東京よりも高額である。事務用では,ロンドンの3010円が最も高く,ニューヨーク,パリ,東京,デュッセルドルフ,ストックホルムの順番で高額だった。

 3分当たりの通話料も同様の傾向で,平日昼間はソウルの5円が最も安く,次いで東京の8.5円が2番目に低料金となった。最も高額なのはロンドンで,3分間の通話で24円と東京の3倍近い。平日夜間は,デュッセルドルフの6円に2位の座を奪われて日本は3番目に安い都市となる。最も安価なソウルは平日昼間と同じ5円。最も高いのはパリの16円だった。

 年間の通話時間をモデル化して比較すると,住宅用,事務用ともにソウルに次いで2番目に安い料金だった。例えば東京の住宅用は年額6万3000円。最も安いソウルは年額3万3000円と東京を大きく下回るが,ニューヨーク,パリは年額8万円を超え,ロンドン,デュッセルドルフ,ストックホルムも年額7万円を超える料金となった。

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