米Enterprise Management Associates(EMA)は米国時間7月2日,企業の仮想化戦略について調査した結果を発表した。それによると,対象となった企業の75%が何らかの形ですでに仮想化を導入していることが明らかになった。今回のレポートでは,「人的問題」「セキュリティおよびリスク」「技術管理」の3分野に焦点を当てて,仮想化を導入する前に考慮すべきポイントを提示している。

 人的問題については,仮想化を導入していない企業の74%が「導入するための技術力を備えているか確信がない」と回答している。導入している企業でも半数以上が「適切な技術を十分には備えていない」と考えている。調査レポートでは,一部の人的問題を回避するための手段として,トレーニング,専門家とのコンサルティング,ユーザー・グループおよび内部連携の重要性を強調している。

 セキュリティとリスクについては,仮想化により増強すべきセキュリティのポイントや,現行のツールでは検出できない新しいタイプのマルウエアの存在を指摘。仮想化を段階的に導入するアプローチや,1台の物理システムに重要なアプリケーションを集中させないことなどを勧めている。また,未解決のセキュリティやリスク問題が存在するため,リスクを避けたい企業は仮想化導入計画の保留も検討すべきだとしている。

 技術管理に関しては,技術的問題に早急に対応することで,仮想化導入の成功と失敗が決定する可能性があると指摘。仮想マシンの無秩序な拡散,ハードウエアの相互運用性,ソフトウエアのサポートといった問題について,容量計画,設定管理,費用計算の手順を確立するなどで対応するように勧めている。

 EMAは,もっとも重要な事項として,「仮想化が戦略的ビジネス目標を達成する手段の一助となるか」を検討すべきだとしている。これは,仮想化を急ぐあまり見逃されがちだという。企業が直面する多くの選択肢は,それぞれ異なるアプローチを必要とする。そのため,「企業は仮想化を導入する前に,現実的な目標を明確に定義するための時間を設けるべきである」としている。

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