日経SYSTEMSが実施した開発支援ツールの利用実態調査。その結果を報告する。3回目は,システム開発のフェーズ(作業含む)ごとのツールの利用率と満足度(利用者による評価)に注目する。

 調査ではここ1年のシステム構築プロジェクトにおいて,各開発フェーズに携わった方に,そのフェーズでのツールの利用の有無を尋ねた。ツールを利用した方には,ツールの評価も尋ねている。

10フェーズ(作業含む)
1.要求/要件定義
2.分析/設計
3.プログラミング
4.単体テスト
5.機能テスト
6.負荷テスト
7.計測テスト(パフォーマンスなどの測定テスト)
8.Webアプリケーションの脆弱性テスト
9.変更/構成管理
10.プロジェクト管理

 まず,10フェーズ全体のツールの利用率を見ていく。全体を平均すると,ツールを利用したのは31.5%(約3割)だった(図1)。逆に見れば,68.5%の方は,ツールを利用せずに各フェーズの作業を実施したことになる。例えば,進捗管理専用のツールを使わず,Excelなどでプロジェクトの進捗を管理した,ということだ。

図1●各分野における開発支援ツールの利用状況
図1●各分野における開発支援ツールの利用状況
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 一方,利用者によるツールの満足度は,全体を平均すると67.4点(約70点)だった(図2)。満足度とは,10個の評価項目をそれぞれ4段階で評価し,100点満点に換算した値である。

図2●各分野でツールを利用したときの「満足度」
図2●各分野でツールを利用したときの「満足度」
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 まとめると,「ツールの利用率は3割,満足度は約70点」となる。満足度が約70点と比較的高い評価を得られているなら,3割というツールの利用率は低いという見方ができよう。

 ただ,ツールの利用率が3割といっても,開発フェーズによって大きな差がある。最も利用率の高いフェーズは「プログラミング」で73.1%。50%を超えたのはこのフェーズのみである。逆に最も利用率の低いフェーズは「要求/要件定義」で,わずか12.1%。要求/要件定義フェーズに携わった方の約9割がツールを使わなかったことになる。

 ツールの満足度は,開発フェーズによる違いは小さい。最も満足度の高かったフェーズは「Webアプリケーションの脆弱性テスト」で72.0点。逆に最も満足度の低かったフェーズは「プロジェクト管理」で62.5点だった。その差は10点もない。