資産管理アプリケーションとは,主にクライアントPCのソフトウエア環境に関する情報を収集および監視する役割を担うものである。従来,その主たる用途はクライアントPCにインストールされたアプリケーションの一覧を取得して記録する「管理台帳」であった。クライアント/サーバー形態のアプリケーションが登場した初期の頃は,複数のアプリケーションがモジュール(DLL)を共有していた。そのため,異なるバージョンのDLLを利用するアプリケーションは同居することができないといった状態(「DLL HELL」)が起きることもあった。それを避けるために資産管理アプリケーションを利用して,現状把握を行っていたのである。つまり,この時点での資産管理アプリケーションはシステム管理者の利便性を向上させるためのツールという位置付けが強かった。

 その後,資産管理アプリケーションの果たすべき役割はクライアントPCを対象とした運用管理全般へと広がっていった。今日,ユーザー企業にはほぼ一人一台の以上の割合でクライアントPCが導入されている。クライアントPCに導入されるアプリケーションの数も増加し,クライアントPCの運用管理は複雑になる一方である。それに伴い,クライアントPCの運用管理にも様々な課題が生じてきている。図1は年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業に対し,クライアントPCの運用管理において抱える課題を尋ねた結果である。

図1●クライアントPC運用管理における課題
図1●クライアントPC運用管理における課題

 前回の「クラウド型セキュリティが変えるウイルス/マルウエア対策」でも述べたが,ここでもクライアントPCのセキュリティ対策が重要なポイントであることが読み取れる。こうした状況を踏まえて,クライアントPCのセキュリティ対策が盛り込まれている点が最近の資産管理ツールの大きな特徴である(図2)。

図2●資産管理アプリケーションの変遷
図2●資産管理アプリケーションの変遷