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市場調査から見える業務アプリケーションの新しいカタチ

プラットフォームへと進化するグループウエア

岩上 由高=ノークリサーチ 2009/04/14 ITpro

 グループウエアは情報系業務アプリケーションの代表例であり,メールと並んでほぼすべての社員が毎日利用するものである。グループウエアは日本でも導入が比較的早期に始まった部類に属し,ブラウザで利用できるWebグループウエアは広く普及している。図1が示すようにパッケージ化率も96.7%に達しており,パッケージ活用がほぼ定着したといえる状況になっている。

図1●グループウェアのパッケージ比率
図1●グループウェアのパッケージ比率

 こうした状況から,グループウエア市場は飽和状態にあるのではないかという指摘も少なくない。実際,ノークリサーチが中堅・中小企業を対象に2009年2月に実施した調査では,ユーザー企業の53.6%が「2009年度前半のグループウエアやメールといった情報系業務アプリケーション投資を昨年度以上の水準よりも削減する」と回答している。図2は中堅・中小企業に対して,「グループウエアやメールといった情報系業務アプリケーションに投資をしない理由」を尋ねた結果である。スケジューラ,施設予約,掲示板といった基本機能の使い勝手も向上し,アプリケーション・パッケージとしてのグループウエアは完成形に近づきつつある。それを反映するように,ユーザー企業がグループウエアに求める新たなニーズは少なく,現状維持の意向が強くなっている状況がグラフからも読み取れる。

図2●グループウェアやメールといった情報系業務アプリケーションに投資をしない理由
図2●グループウェアやメールといった情報系業務アプリケーションに投資をしない理由

 それでは,グループウエアは飽和状態に達し,このままコモディティ化していくのだろうか。単なるスケジューラ,施設予約,掲示板といったレベルでは確かにそうかも知れない。しかし,昨今では従来のグループウエアの枠を超えた新しい試みも見られ始めている。その中でも特に注目すべき動きとして,以下の3つが挙げられる。

  • 統合化への動き
  •  実はグループウエアは定義がとても曖昧な業務アプリケーション分野である。メールやワークフローといった単体でも存在しているアプリケーションを一機能として包含するものもあれば,そうでないものもある。近年に限ったことではないが,個別の基幹系業務アプリケーションがERPに集約されていくように,グループウエアも他の情報系業務アプリケーションを徐々に統合していく傾向にある。特にコスト削減やセキュリティ強化が求められる状況下では,ベンダー側としても複数のアプリケーションを統合して提供する方が有利である場合が多い。こうした背景の中,「グループウエアが複数のアプリケーションを統合する」という動きが加速しつつある。

     具体例としてはOSKの「eValue NS」が挙げられる。「eValue NS」は同社の企業ポータル/グループウエア製品「EasyPortal」,ワークフロー製品「Advance-Flow」,文書管理および検索製品「Visual Finder」の3つを統合したものである。

  • アプリケーション開発基盤化への動き
  •  グループウエアの代表格ともいえる「Lotus Notes/Domino」はグループウエアであると同時にアプリケーション開発基盤としての性格も持ち合わせている。大企業では数百に及ぶ独自データベース(「Lotus Notes/Domino」ではアプリケーションの開発単位を「データベース」と呼ぶ)を構築している例も少なくない。こうした「グループウエアを基盤とした独自アプリケーションを自社内で開発する」というニーズは中堅企業や大企業のみに存在すると考えられていた。しかし,昨今では中小企業においても簡易な独自アプリケーションを自社内で作成・利用するというニーズが生じつつある。従来はMicrosoft Excelをアプリケーション代わりに利用するといった例が多く見られたが,セキュリティや運用保守の面で限界が生じ始めてきている。一方,経済不況の影響によって新規のシステム開発費用を確保することも難しい状況にある。こうした状況を受けて,中小企業向けのグループウエアにおいてもアプリケーション開発基盤化へのニーズが高まっていく可能性がある。

     具体例としてはサイボウズによる「サイボウズOffice8」と簡易アプリケーション開発ツールの「サイボウズデヂエ8」との連携が挙げられる。旧バージョンでは別製品として個別に提供されていたが,バージョン8では互いに連携できるようになり,両者をバンドルしたラインアップも新たに追加されている。

  • フロントエンド・ツール化
  •  グループウエアはメールと並んで,全ての社員が最も多くの利用時間を費やす業務アプリケーションといえる。そういった意味では,グループウエアのスケジューラ画面は「時間」という属性を持つあらゆるデータを取り扱う共通のフロントエンド・ツールになりうる可能性を秘めている。グループウエアのスケジューラに入力された予定データを営業支援システム,勤怠管理システム,プロジェクト管理システムなどに取り込めば,ユーザーによる二重入力の手間を軽減し,入力ミスも防ぐことができる。こうした試みは同一ベンダーの製品同士や特定のベンダー間ではすでに行われている。しかし,グループウエア製品側がデータ・エキスポートのためのインタフェースを公開すれば,より多くの業務アプリケーションがグループウエアを通じて入力されたデータを有効活用することができるのである。

     興味深い試みの例としてはエムオーテックスの「LANScope Eco2」が挙げられる。同製品にはスケジューラに入力されたタスク情報を業務ログとして内部統制に役立てるという仕組みが備わっている。内部統制の実践においては,実施記録作成が個々の社員にとって大きな負担となる場合も少なくない。それを軽減する手段としてグループウエアに注目した点は斬新な発想といえるだろう。データ・エキスポートのインタフェースを備えるグループウエアはまだ少なく,Googleの「Google Apps」など一部にとどまっている。大手国産ベンダーによるデータ・エキスポートのためのインタフェース公開はグループウエア市場を再活性化させる有効な施策になるのではないかと考えられる。

 このように進化の最終段階に達したかのように見えるグループウエア市場にも,また新たなステージが見え隠れしつつある。スケジューラ,施設予約,掲示板といった旧来の枠組みに囚われず,「全社員が毎日利用する情報系業務アプリケーションの共通基盤」と捉えなおすことで,新たな活用方法が見つかるはずである。

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