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市場調査から見える業務アプリケーションの新しいカタチ

基幹系業務アプリケーションとSaaSの関係

岩上 由高=ノークリサーチ 2009/04/13 ITpro

 基幹系業務アプリケーションとは「財務会計/管理会計」「人事管理」「給与管理」「販売管理/購買管理」「生産管理」といったいわゆるバックオフィス系アプリケーションの総称である。

 図1は年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業における基幹系業務アプリケーションのパッケージ化率を表したものである。「財務会計/管理会計」「人事管理」「給与管理」の3分野ではパッケージ導入が進んでおり,導入社数ベースで見た場合のベンダーのシェアも比較的安定している。「財務会計/管理会計」ではオービックビジネスコンサルタントの「勘定奉行」,ピー・シー・エーの「PCA会計」,弥生の「弥生会計」の3社でシェアの過半数を占めている。「人事管理」ではオービックビジネスコンサルタントの「人事奉行」,カシオ計算機の「ADPS」,OSKの「SMILEシリーズ」が上位に位置している。「給与管理」は「財務会計/会計管理」と同様にオービックビジネスコンサルタントの「給与奉行」,ピー・シー・エーの「PCA給与」,弥生の「弥生給与」といった主要ベンダの製品がほぼ過半数を占める。「販売管理/購買管理」や「生産管理」はユーザ企業の業務内容によってニーズも多彩であるため,スクラッチ開発の割合が比較的高くなっている。しかし,パッケージ化率は年々徐々に上昇する傾向にある。

図1●基幹系業務アプリケーションのパッケージ化率
図1●基幹系業務アプリケーションのパッケージ化率

 経済不況の影響で,IT関連支出の削減を進めるユーザー企業も少なくない。そうした状況下においても,基幹系業務アプリケーションに対する支出は比較的堅調を保っている。実際,ノークリサーチが中堅・中小企業を対象に2009年2月に実施した調査では,ユーザー企業の51.3%が「2009年度前半の基幹系業務アプリケーション投資は昨年度以上の水準を維持する」と回答している。しかし,その中身を詳しく見てみると,必ずしもユーザーが積極的に投資をしているわけではないことがわかる。図2は基幹系業務アプリケーションの投資対象項目を尋ねた結果である。業務効率改善を目的とした試みよりも,維持コストが多くを占めていることがわかる。

図2●基幹系業務アプリケーションの投資対象項目
図2●基幹系業務アプリケーションの投資対象項目

 こうした「基幹系業務アプリケーションの維持コスト」を軽減する手段の一つがSaaSである。基幹系業務アプリケーションは秘匿性の高いデータを取り扱うことが多く,データを社外に預けることに対するユーザの抵抗感も強い。しかし,IT関連支出の削減を求める声が強まっていることも事実である。そうした状況を受け,各ベンダーが自社製品のSaaS形態での提供に注力し始めてきている。

有名パッケージのSaaS化進んでいる

 オービックビジネスコンサルタントはTISと協業し,「奉行V ERPシリーズ」を「ECセンター for 奉行」という名称でSaaS提供している。同社はNECネクサソリューションズとも協業しており,「奉行21シリーズ」を「らくらくアウトソーシングパック for 奉行21」という名称で同じくSaaS提供している。既に自社製品の取り扱いに実績を持つSIerと組んでのSaaS提供という戦略だ。一方,ピー・シー・エーは自ら「PCA for SaaS」の名称で自社製品をSaaS提供している。

 こうした基幹系業務アプリケーションのSaaSにはある特徴が見られる。それは以下のように導入時の選択肢が複数用意されている点である。

  1. あるバージョンのアプリケーションを買い取り,ハードウエア運用だけを委託する
  2. ハードウエア運用だけでなく,アプリケーション運用全体を委託する

通常,SaaSといえば2.の形態を指すのが一般的である。しかし,

  • 既に同じ内容のパッケージを購入済みであり,自社内で運用している
  • バージョンアップのサイクルが長い,あるいは自社でコントロールしたい

といったユーザー企業にとって,2.は逆にコスト高になる可能性もある。そうした場合のために,ハードウエア運用のみを提供し,バージョンアップ作業も別途有償とした1.の選択肢が用意されているのである。これは旧来のホスティングと本質的には変わらない。しかし,基幹系業務アプリケーションの保守運用やバージョンアップにはハードウエアの運用管理や買い替えも伴い,それらがユーザー企業にとって少なからぬ負担となっている。上記の選択肢はユーザー企業が抱えるそうした様々な課題に対する工夫の一つと捉えることができるだろう。

 基幹系業務アプリケーションのSaaS活用を検討する際には,ソフトウエア・ライセンスやハードウエアを導入・運用コストといった数字として目に見えるコスト削減効果だけでなく,「SaaSならではのメリットがあるか?」を念頭に置くことが重要である。

SaaSならではのメリットとしては

  • 税理士や会計士に対し,セキュリティを確保した上でアプリケーションを共有できる。
  • WANに対する安価な代替手段として,複数拠点間でアプリケーションを共有できる。
  • 停電やハードウエア故障によるサーバー停止およびデータ消失を防止できる。
といったことが挙げられる。

 欧米と比較すると,日本では基幹系業務アプリケーションにおけるSaaS活用はまだ黎明期といえる。しかし,経済産業省が推進する「J-SaaS」では従業員20人以下を中心とした小規模企業に対して基幹系業務アプリケーションをSaaS形態で提供するサービスを展開しており,オービックビジネスコンサルタントとそのグループ企業であるビズソフトが財務会計,経理,給与計算,インターネット・バンキングといったサービスを既に提供している。

 こうした傾向を踏まえると,日本においても基幹系アプリケーションの運用形態が多様化していくものと予想される。

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