「中堅以下の企業への販売は昨年に比べて約2倍は伸びている」。富士通の田中豊久ブレードサーバビジネスプロジェクトシニアマネージャーがこう話すように、ブレードサーバーの需要は中堅・中小企業で拡大している。こうした需要をにらみ、ベンダー各社は、中堅・中小企業をターゲットにしたオフィス向け製品を今年、相次ぎ投入した(表A)。

表3●オフィスに設置するタイプのブレードサーバー製品例
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表3●オフィスに設置するタイプのブレードサーバー製品例

 製品の特徴は、オフィスに置いてもサーバーの動作音が気にならない「静音性」と、導入してからすぐに利用できる「手軽さ」である。富士通が7月に販売を開始した「かんたんブレードセット」は、目的別に「ベース」「コンパクト」「バックアップ」「自動リカバリー」という4モデルを用意。ソフトのインストールやネットワークの設定などのセットアップ作業を完了した状態で出荷する。

 4モデルのうち、コンパクトモデルがオフィスに設置するタイプ。動作音の大きさを通常の16Uタイプの製品に比べて10デシベル(db)低い55~60dbに抑えた。この音量であれば、「図書館に置いても気にならない程度」(田中マネージャー)という。

 日立製作所は、6月からオフィス向けに「BladeSymphony SP(Simple Pack)」を販売している。BladeSymphony SPも16UのラックにブレードサーバーやUPS(無停電電源装置)などを搭載し、ソフトとハードのセットアップを完了した状態で出荷する。「導入してから約8分で使用可能になる」(宇賀神本部長)という手軽さが売りだ。ラックに吸音材や静音化ドアなどを採用し、動作音の大きさを複合機並みの45dbに抑えた。9月からは、障害復旧機能「N+1コールドスタンバイ」への対応も開始した。

 NECもオフィス向けに、「コンパクトブレードシステム」の販売を開始した。同システムは、13Uのラックに小型シャーシ「SIGMABLADE-M」を搭載して利用するが、オフィス用途に向け電源モジュールを電圧100Vに対応。さらに電源モジュール内のファンの回転数を制御可能にすることによって静音化を図り、音量を約55dbに抑えた。ただし、富士通や日立製作所のように、ハードやソフトのセットアップを完了したモデルを提供しておらず、「ニーズを見ながら今後検討したい」(NEC)という。