「消費電力をどれだけ減らせるかも、今後ブレードサーバーを選ぶ上でのポイントになる」(IIJ-Techの金田マネージャ)というように、企業の省エネ対応への関心は高い。こうしたニーズに応えるためにベンダー各社は省電力対応技術を競い合う。

 省電力対応技術は、低電圧のCPUプロセッサやSSD(Solid State Drive、半導体メモリー)の搭載、CPUの使用率に応じて消費電力を制御する機能など多種多様だ。導入しようとする製品にどのような省電力対応技術が採用されているかを検討する必要がある。

 低電圧プロセッサとともに、NECや日本IBM、日本HPなどベンダーの間で採用が進んでいるのが、CPUの使用率に応じた消費電力の制御だ(図5)。サーバーのCPUの使用率が低い場合には、一部の電源モジュールをオフにするが、逆に使用率が上がれば電源モジュールをオンにするように設定する。あらかじめ使用する消費電力の上限を設定しておき、上限を超えそうになるとCPUの周波数を低下させる省電力モードに切り替えて運転するといった制御方法もある。こうした制御を徹底することで、ムダな電力消費を避けられるというわけだ。

図5●ブレードサーバーの稼働状況に応じて消費電力を制御する技術<br>必要に応じて供給電力を柔軟に調整する方法と消費電力量の上限を設定する方法がある
図5●ブレードサーバーの稼働状況に応じて消費電力を制御する技術
必要に応じて供給電力を柔軟に調整する方法と消費電力量の上限を設定する方法がある
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 消費電力削減では、サンやデルなどの製品が採用する、シャーシ内の温度に応じてファンの回転数を調整するといった手法もある。温度が低いときにファンの回転数を少なくしておけば、それだけファンにかかる消費電力を減らすことができる。

 SSDも省電力に有効な手段として注目される。日本IBMが32GBのSSDと75GBの2.5インチSAS(1万5000rpm)の消費電力を比較したところ、16プロセスによるデータ1MBの読み書きで最大約11Wの差があることがわかった(表2)。

表2●SSDとHDDの消費電力の比較
表2●SSDとHDDの消費電力の比較

 この比較ではSSDとSASの間で容量が異なるが、日本IBMによると容量の違いによる影響は小さいという。導入台数が多ければ、それに比例してSSDの省電力効果は大きくなる。

 SSDに対応した製品はまだ少ない。現状では、日本HPと日本IBMがSSD対応製品を販売しているだけだ。ただし、その他のベンダー各社のほとんどが「SSDへの対応を検討している」としており、今後新たに投入する新製品から徐々に搭載されていく可能性は高そうだ。