企業内でのブログが盛んになるに伴い,イントラ向けブログ構築ツールが登場してきた。特徴は,社内で情報を共有するWebサイトを簡単に構築できること。基本機能は,記事/コメント編集,HTML/RSS生成,各種管理機能だ。企業で使うため,権限設定などのセキュリティ対策が重要である。(松浦 龍夫=日経SYSTEMS

 企業内でブログを利用する動きが出てきている。NTTレゾナントと三菱総合研究所が2005年に共同で実施した調査「ビジネスパーソンの社内ブログ利用状況に関する調査」では,回答者の65.7%が今後企業内で利用したいとするなど,企業内ブログに対する関心は高い。

 企業内ブログの構築ツールが「イントラ向けブログ構築ツール」である。このツールの最大の特徴は,社内で情報を共有するWebサイトを簡単に構築できることだ。これまで,イントラネットを構築してWebページを更新しようとすると,HTML技術を習得してページを作成する必要があった。

 市販のWebページ作成ツールを使えばHTMLの知識がなくてもよいが,基本的にはWebページを作成するソフトであり,Webサイトの構築ソフトではない。FTPサーバーを使ってWebページをアップロードするといったことが必要で,画面の構成が崩れて修正するときなどには,ある程度の専門知識が求められた。

 それに対してイントラ向けブログ構築ツールを使えば,基本的にはWebの専門知識を知らなくても情報共有のためのWebサイトを構築できる。HTMLを知らなくてもページを作成できるほか,レイアウト変更なども簡単な設定で済む。リンク・ミスなどがあったとしても,編集画面を開いてすぐに修正できる。Webサイトの更新やメンテナンスに苦労していた人にとって,この簡単さは魅力的に映る。

 手軽に情報共有サイトを構築できることで,個々の社員がブログを持ち,自ら情報を書き込めるようになる。このことは大きなインパクトをもたらす。自分のブログであるので,ささいな意見やアイデアでも書き込みやすい。また,そのブログを見たほかの社員も気軽にコメントなどを書き込みやすい。2005年11月から企業内ブログを導入したあるユーザー企業は,「お堅いイメージの社内掲示板や電子会議室よりも,ブログの方が情報を書き込みやすい」と実感している。

 つまり,「情報が書き込まれない」という情報共有の最大の障壁を乗り越えられる可能性が高い。このことが,従来の情報共有ツール(例えば,グループウエア)との大きな違いである。例えば,グループウエアの電子掲示板の場合,「(会社が用意した場所ということから)ちゃんとした内容を書かなければならないという意識が働き,単なる思いつきレベルのアイデアなどを書きづらい」(あるブログ・ベンダー)と指摘する声がある。