(A)進捗管理を重視
タスク細分化の容易さに注目

 進捗管理を重視する場合には,タスクの開始日・終了日の登録が容易か,各タスクの開始日・終了日を帯状グラフで表現する「ガントチャート」など視認性の高いビューがあるか,タスクの進捗率を集計・分析できるか---などを重要視する担当者が多い。プロジェクト管理ツールならガントチャートくらいは当然使えると思いがちだが,コミュニケーション支援を主眼にした製品ではガントチャートに対応していないケースもあり,注意を要する。

他のプロジェクトから人をやりくり

 あるユーザー企業の担当者は,スタンドアローン型で動作する製品を選択した。「作業の進展に従って,進捗管理の単位になる工程やタスクを徐々に細分化できる。タスクごとに進捗率や実績工数を入力し,プロジェクト全体の進捗率や実績工数を積み上げ集計することも容易」と評価する。スタンドアローン環境で使うので,進捗率などはメンバーからミーティングなどで聞き取り,自分で入力している。

 これに対し,あるSIベンダーのPMはクライアント/サーバー型で動作する製品を選んだ。この製品は,進捗度を成果物の出来高で評価するマネジメント手法「EVM(Earned Value Management)」による分析が可能だった。同社は,特定のプロジェクトを超えてリソース(人/物/場所/金など)をやりくりしたい場合があった。

 例えば,あるPMが管理するタスクに進捗の遅れが生じ,プログラマを急きょ追加したいとする。別のプロジェクトに参加しているプログラマを呼び寄せる際に,サーバー上でプログラマの情報を一元管理していれば,彼らの作業負荷を考慮したり,元々参加していたプロジェクトへの影響度を検討したりすることが容易になる。サーバー・ソフトと連携できる製品を使えば,サーバーを立てるだけでプロジェクトの横断的な管理が可能になる。

直感的なインタフェースが決め手に

 定量的できめ細かな進捗把握を重視するSIベンダーもある。タスクごとに進捗把握の方法をきめ細かく設定できることが製品選びのポイント。例えば,各タスクについて,メンバーに進捗率を入力させるのか,完了/未完了だけを管理するのかを選択できること。また,全体の進捗率を計算する際に,重要なタスクのウエイトを重くして,加重平均する設定が可能であることだ。

 ユーザー・インタフェースに注目して製品を選んだケースもある。進捗情報の入力のしやすさや,進捗状況の視認性の良さがポイントだ。こうした製品を選んだSIベンダーは,「ガントチャートを直感的にドラッグ&ドロップで作成できるし,進捗レポートの見た目も分かりやすい」と評価する。