グッドデザイン賞(日本産業デザイン振興会)の一次審査結果が7月29日,Webサイトで公表された。情報システムに関連する分野でも,数多くのエントリーがある。一次審査を通過したエントリーを眺めていると,世の中はIT業界に何を期待しているのか,ITが世の中をどのように変えると思われているのかが見えてきて,面白い。

 グッドデザイン賞(日本産業デザイン振興会)の一次審査結果が2009年7月29日,Webサイトで公表された。情報システムに関連する分野でも,数多くのエントリーがある。審査員の一人,紺野登氏は次のように語る。

 「モノの時代からサービスの時代になりつつある。今やGDPの7割強を占めるのはサービスだ。デザインの分野もサービスに注目している。ITが加わることでサービスの質は大きく変わる。今年のグッドデザイン賞のエントリーには,これからの産業を引っ張っていきそうなものが多く含まれている。IT業界のトップも関心を持っている」。

 一次審査を通過したエントリーを眺めていると,世の中はIT業界に何を期待しているのか,ITが世の中をどのように変えると思われているのかが見えてきて,面白い。

 IT業界でデザインというと,パソコンの形やWebサイトの見栄えを思い浮かべる人が多いかもしれない。紺野氏が長を務めるユニット11(グッドデザイン賞では15のユニットに分かれて審査を進める)が対象とするのは,それとは全く違う。サービスシステムやソリューションビジネスといった,形のないもの,目に見えないもののデザインを評価しようというわけである。

 2009年の一次審査を通過したエントリーから,いくつか引用してみよう。


●仕事や会議の環境を提供するサービス フューチャーセンター・サービス(富士ゼロックス)
概要:
フューチャーセンターサービス(FCS)は,組織が積極的,協力的,そして体系的な方法で未来の準備をおこなうことを手助けする,ファシリテートされた「場のサービス」の総称である。社会や市場の未来を構想する,もしくは問題解決のための場を提供する。FCSの提供プロセス:(1)複雑な問題の解決に向けての場のプロセスデザイン (2)非日常の対話を促進する場の運営 (3)場での経験知の蓄積・活用 (4)持続的に複雑な問題が解決できる能力構築 創造的都市等,新たな知的交流機能が要請されるようになってきている。FCSは組織や企業,産官学横断の知識創造を行える仕組みを持った知的サービスとして位置づけられる。

●インターネットデータベース ジャパンナレッジ(ネットアドバンス)
概要:
ジャパンナレッジは,総項目数約211万,総文字数約16億の膨大な知識情報を収録したインターネット上で利用できるデータベースです(2009年6月現在)。その中核となるのは日本有数の百科事典や辞書類です。これらを見出しで調べることはもちろん,文字単位で検索することも可能です。さらに,それぞれのコンテンツの情報を多角的に比較対照できる一括検索もできます。検索語の組み合わせ,検索結果の表示順やコンテンツのセレクトもそれぞれのニーズに合わせて変えられますので,ユーザーは欲しい知識に素早く到達することができます。インターネットを通じた,まさに自分だけの図書館なのです。

●地域医療連携システム HOPE/地域連携 V1(富士通)
概要:
本ソリューションで提供しているものは地域が一体となった医療による患者様とそのご家族の”安心”です。中核病院を核とし,地域の医療機関をネットワーク接続,患者様の同意に基づき,画像を含むカルテ情報を共有,紹介状や予約のやり取りを行えるソリューションです。地域のお医者様は,インターネット接続環境さえあれば,無償で,且つ厚生労働省発行の『医療情報システムの安全管理に関するガイドライン』に準拠した安全な,このネットワークに入ることができます。病院完結型医療から地域完結型医療へー健康の悪化が気にかかり始めたときから治療,快復期を通じて,患者様とそのご家族を地域の医療機関が優しく見守るする社会を実現します。