5分野の開発支援ツールのうち,総合満足度が最も高い分野はプログラミング(71.4),逆に最も低いのはプロジェクト管理(57.6)――。今年3月9日から4月8日までの1カ月間,インターネット上で実施した「開発支援ツール徹底調査」の結果である。3月11日の記者のつぶやき「開発ツールに不満はないですか?」などを通じて,調査にご協力いただいた計2126人のITエンジニアの方々に御礼を申し上げる。

 調査では,「分析/設計」「プログラミング」「テスト」「変更/構成管理」「プロジェクト管理」の全5分野について,プロジェクトでどのような開発支援ツールを利用しているのか,ツール選定ではどのような項目を重視しているのかなどを聞いた。この「開発支援ツール徹底調査」の詳しい結果は,日経SYSTEMS6月号の特集記事「開発の手戻りをなくそう」で解説している。日経SYSTEMSでは毎年,この開発支援ツール徹底調査を実施しており,2009年版でも面白い結果が出たので楽しみにしてほしい。

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 ここでは,いくつかの調査結果を基に,プログラミング分野の開発支援ツールは総合満足度が高く,逆にプロジェクト管理分野は総合満足度が低い理由を考えていきたい。

プロジェクト管理ツールに興味あり

表1●分野別の総合満足度
分野総合満足度
(満点は100)
プログラミング71.4
分析/設計69.5
変更/構成管理69.2
テスト67.0
プロジェクト管理57.6

 まず,分野別に集計した総合満足度を表1に示す。繰り返しになるが,1位はプログラミング,5位(最下位)はプロジェクト管理である。2位は分析/設計,3位は変更/構成管理,4位はテストだ。ここで,1位から4位までは総合満足度が小差で,67.0~72.0に収まっているものの,5位のプロジェクト管理ツールだけは57.6とほかの4分野と比べて極端に低いことに注目してほしい。

 表2は開発支援ツールの総合満足度上位10製品である。プロジェクト管理ツールは一つもランクインしておらず,ほかの4分野の開発支援ツールが評価を分け合っている。だからといって,ITエンジニアはプロジェクト管理ツールに興味や関心がない,というわけではない。

表2●利用しているツールの総合満足度ランキング
順位ツール名分野総合満足度利用者数
1TortoiseCVS/SVN変更/構成管理86.0 38
2Eclipseプログラミング79.0 197
3Enterprise Architect分析/設計78.96 38
4SI Object Browserシリーズテスト78.5 31
5Subversion変更/構成管理77.5 86
6SI Object Browserシリーズ分析/設計76.7 30
7JUDE分析/設計74.8 62
8EclipseUM分析/設計73.4 30
9Microsoft Visual Studio分析/設計71.0 86
10JMeterテスト69.3 26

 ITエンジニアが今後使ってみたい開発支援ツールの上位10製品を表3に示した。なんと,その1位はプロジェクト管理ツールのMicrosoft Office Projectなのだ。ちなみに,Microsoft Office Projectの総合満足度は54.4と,プロジェクト管理ツール全体の総合満足度である57.6を下回る。最も使ってみたい開発支援ツールではあるが,実際に使ってみると満足度が極端に低い,とはどういうことか。

表3●今後使ってみたいツール・ランキング
順位ツール名分野回答率(%)回答数
1Microsoft Office Projectプロジェクト管理61.4 256
2Eclipseプログラミング43.7 225
2Subversion変更/構成管理42.7 143
4Microsoft Visual Studio分析/設計32.3 170
5Microsoft Visual Studioシリーズプログラミング31.8 164
6CVS変更/構成管理30.4 102
6Microsoft Visual Studioシリーズ変更/構成管理30.4 102
8Microsoft Office Visio分析/設計28.7 151
9Microsoft Visual Studioシリーズテスト28.4 113
10JUDE分析/設計27.4 144