仮想化支援機能は簡単に使えるとは限らない

 そこで,今度はCore 2 Duo T7250(2GHz)を搭載している別のパソコンで試してみることにした。先ほどのパソコンと同様の手順でインストールして起動させてみたが,やはり同じメッセージが表示される。インテルのWebサイトでCPUのスペックを確認してみても,Core 2 Duo T7250にはにIntel VTの機能を確かに装備しているはずである。どうやら仮想化支援機能がBIOSで有効に設定されていないようだ。

 早速パソコンを再起動してBIOSの設定メニューを呼び出してみたが,ここで次の壁にぶつかってしまった。なぜか仮想化支援機能を有効にする設定項目がBIOSのメニューの中にないのだ。インターネット上の情報を検索してみると,どうやらこのパソコンのBIOSでは仮想化支援機能は有効にできず,有効にするためには設定を強引な手法で直接書き換える必要があるらしい。だが,そのような書き換えをやってしまうと当たり前ながらメーカーのサポート対象外になってしまうし,そもそも書き換えに失敗するとパソコン自体が起動しなくなってしまう可能性さえある。

 くじけ気味の気分になった筆者は,日頃使っている別のパソコン2台についても仮想化支援機能を確認してみた。どちらもCore 2 DuoシリーズのCPUを搭載している。1台は,残念ながらIntel VT機能をサポートしていないT5750というCPUを搭載していた。残りの1台はIntel VT機能をサポートしているE6300で,しかもBIOSで仮想化支援機能を有効にできることがわかった。

 筆者の周りにある日常的に使っているパソコン4台について整理してみると,まともに仮想化支援機能が使えるパソコンは1台だけで,1台はCPUがサポートしているもののBIOSで設定できないために利用できず,残り2台は仮想化支援機能が使えないCPUということになる。同じCore 2 DuoシリーズのCPUを搭載しているパソコンの中でも,1台は仮想化支援機能が問題なく使え,1台はBIOSで設定不可能,残り1台はそもそもCPUで仮想化支援機能を装備していないというバラバラな状態だった。筆者の使っているこれら4台のパソコンは決して古いものではない。いずれも約2年以内に買ったものばかり。それなのに,仮想化支援機能のサポートには,これだけのバラつきがあるのだ。

購入前に確認するのはなかなか難しい

 正直言って,筆者がこれまでパソコンを購入する際に仮想化支援機能が利用できるかどうかを気にすることはなかった。Virtual PC 2007で試験的に仮想化環境を使っている分には,仮想化支援機能を使っても使わなくても,性能に大きな差を感じたことはなかったからである。だが,Windows Virtual PCを使おうと考えた場合には,仮想化支援機能を有効にできないパソコンではそもそも利用することができない。もしWindows 7での互換性に不安のあるXP向けのソフトをWindows XP Modeで解決したいと思っても,対象ユーザーが使っているパソコンによってはそもそもそういうソリューションを利用できない可能性がある。といって,使えるかどうかを調べるためには,単純なCPUの型番だけでなく(これだけでも数が多いと大変だと思うが),果たしてそのパソコンのBIOSで仮想化支援機能が有効にできるかどうかも含めて調べなければいけないのだ。

 とりあえず,筆者がこれからパソコンを購入する際には,仮想化支援機能対応についても気にすることにしたいと思う。だが,パソコンのカタログやスペック表の情報だけでは,確実に有効にできるかどうかを確認するのは難しい。果たして,その場でBIOSを起動させて設定画面まで確認してみないと,安心してパソコンを購入できなくなるのだろうか。読者の皆様には,今使っているパソコンで仮想化機能が利用できるかを一度チェックしてみることを,ぜひお勧めしたい。