行政サービスの満足度で日本は21カ国中20位---。今年2月にこんなニュースがITproに掲載された。アクセンチュアが2009年2月19日に発表した「各国政府の顧客サービス成熟度調査2008」の結果である(該当記事)。
この調査は、2008年5月から6月にかけて21カ国の市民約8600人への電話調査と政府高官42人の聞き取り調査などに基づき、まとめたもの。「各国の行政機関の取り組み」ではなく「国民の行政サービスに対する評価」という視点で調査している。
日本は「“よりよい生活の提供”という点で、あなた方は今の行政に満足していますか」という問いに対して、「とても満足している/満足している」と回答した市民がわずか12%。その他の設問も全般的に評価が低かった。
ITproのニュースは発表直後の第一報である。また、アクセンチュアはWeb上で調査結果を公開しておらず、詳しい情報はほとんど報じられていない。そこで、アクセンチュア経営コンサルティング本部戦略グループ パートナーの吉竹正樹氏に取材した結果を、筆者の見解を一部交えて紹介したい。
市民の視点に立つ:ニーズに応じたサービスが不十分
行政サービスの質を高め、市民の満足度を高めるにはどうすべきか。アクセンチュアでは、
1. 市民の視点に立つ
2. 市民の声を聴く
3. 官民の垣根を超えた協業
4. さらなる透明性の確保
という4つのポイントから市民の声を反映するメカニズムを強化することが有効であると提言する。
「1.市民の視点に立つ」という点については、「世界一厳しい消費者」としての日本人の姿が調査結果から浮かび上がる。「均一的なサービスよりも、利用者のニーズに応じたサービスの提供に注力すべき」と答えている市民の比率は、他国と比べて日本は群を抜いて高い。一方で、「利用者のニーズに応じたサービスの提供状況」への評価はかなり低い。(図1)。
「2.市民の声を聴く」については、調査では「行政は、十分に市民に意見を求めていますか」という質問をした。日本の場合、「意見を求めている」という回答は23%にとどまっている(図2)。
「3.官民の垣根を超えた協業」についての評価も低い。官民の協業に関して「効果的に協業しているか」という質問に対し、協業が「とても効果的である」とした回答が3分の1を超えた国は21カ国のうち10カ国ある。日本では「とても効果的である」との回答は16%にとどまっている(図3)。