――ここはITエンジニア向けのとある予備校の教室。教室の入り口には「『10年後も通用するスキル試験』直前徹底ガイダンス」の紙が張り出されている。教室に続々と集まってくるのは「10年後も通用するスキル試験」の受験を希望するITエンジニアたち。開始時間ギリギリにガイダンスの担当者が教室に入ってくる(注:以下,架空の物語としてお楽しみください。一部,現実のことを書いた部分が出てきますが,その都度お知らせします)――。

 みなさん,お仕事帰りのところ,大変お疲れ様です。いやー,今や高校受験や大学受験が大詰めですね。みなさんも「10年後も通用するスキル試験」の準備,着々と進んでいますか?

 これからこちらの教室で,直前徹底ガイダンスを,始めたいと思います。私は西村と申します。普段は,日経SYSTEMSという雑誌の記者をしておりますが,訳あってこのガイダンスを担当いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

 ここにお集まりの皆さんはすでにご存知だと思いますけれども,この試験,スキルそのものの知識を問う筆記試験と,スキルに関する実技試験があります。今回は,試験目前の「直前講習」ということで,筆記試験の「傾向」と,実技試験の「対策」の解説をしていきたいと思います。

 みなさん,お忙しいお仕事の合間合間にお勉強をしていかなければなりません。ですので,これから出題の傾向などの「ヤマ」を張ります。ぜひ参考になさって下さればと思います。

【出題傾向】四つのスキルが問われて,いずれも「シンプル」

 まずは筆記試験の傾向から,見てみたいと思います。今回の筆記試験での「ヤマ」となるスキルは,四つしかありません。まずは,技術に関連するスキルから,見てみましょう。二つあります!

――ガイダンスの担当者,いきなり教室のホワイトボードに向かって「技術を分解する」「技術を比較する」と走り書きをする

 まず,「技術を分解する」について説明します。技術っていうのはそもそも,複数の要素から成り立っているものです。だから,技術を分解するスキルが10年後も求められます。もう一つの「技術を比較する」というスキルがあることで,既存の技術との違いがつかめます。新しい技術の使いどころもよりはっきり見極められるので,身に付けておくとよいスキルです。

 この二つのスキルはいずれも,不具合が発生したときの原因究明にとっても有効です。ここ,筆記試験の四択問題で頻繁に出されるところです。ぜひ押さえておきましょう!

 次は,プロジェクト・マネジメントや業務分析に関係するスキルです。これもまた二つです!

――ガイダンスの担当者,また教室のホワイトボードに向かい,今度は「事実を把握する」「リスクを察知する」となぐり書きをする

 「事実を把握する」というのは,プロジェクトや業務で起こっていることをちゃんととらえるっていうことです。「たぶんこうだろう」っていう憶測ではダメってことです。また「リスクを察知する」っていうのは,プロジェクトでは,手戻りや遅延に結びつくようなことが起こっていないかをチェックすること。業務分析につきましては,仕様の考慮漏れがないかなどを見抜くという意味になります。ここ,どっちか一つじゃダメですから,よーく整理しておいてください。

 以上ご説明したこの四つ。いずれもとてもシンプルですが,これ,確実に出ます!ちゃんとメモしておいてくださいね。詳しくはこのテキスト,日経SYSTEMS 2009年2月号の「特集1 10年後も通用するスキル」に書かれていますので,ぜひチェックしてください。ちなみにこの記事,私が担当いたしました。今回,このガイダンスを担当することになったのも,これが理由なんです。(注:特集記事に関する内容は現実のお話です。ご興味のある方は,こちらをチェックしてください)