課題ないし失敗その1:ブログもどきの中断

 課題を列挙するのは気が重いのでなるべく簡潔に済ませたい。2002年にWebの仕事に取り組み始めた時、『情識』という自分のページをITpro編集部に作ってもらい、そこに日記を書いた。いわゆるブログ風のコンテンツである。毎日更新するために必要と説明し、ノートパソコンをITpro編集部に買ってもらい、持ち歩いて外から日記を更新したりした。しかし、新雑誌の開発プロジェクトを始めてから更新が滞ってしまい、ITproが全面リニューアルした際、情識のページは移行できなかった。また、情識の中で、『誤報の検証』という欄を作り、自分が書いてしまった誤報を取り上げ、なぜ間違えたかを解説する試みを始めたが、たった1回、原稿を書いただけで終わった。ちなみに検索エンジンで調べてみると、その原稿が出てきた(『日本IBMの社長人事で大誤報』)。Webと検索エンジンは大変に恐ろしい道具である。

課題ないし失敗その2:雑誌もどきムックの中断

 上段で述べた「新雑誌の開発プロジェクト」とは、技術経営戦略誌『日経ビズテック』の開発を指す。技術経営をテーマにした新雑誌を作るはずであったが、色々な経緯からムックの形で出版した。これは紙雑誌の開発プロジェクトであり、「7年間におけるITpro上の活動」とは厳密に言えば関係無いが、情識というページにおいて「開発日記」を連載し、第1号を出版するまでの日々の活動を書き続けた経緯があって、筆者の頭の中ではITproにおける活動と一緒になっている。日経ビズテックは2005年末、休刊となった。これまた厳密に言うと、定期刊行雑誌ではなくムックであったから、いつ再開して出版してもかまわないのだが、その後、機会に恵まれない。また、日経ビズテック開発プロジェクトの関連から『技術経営メール』というメールマガジンを出し、こちらは休刊後にも継続したが、2008年当初から送信を中断している。申し訳ありません。

課題その3:約束

 ここまで「課題ないし失敗」と書いているが中身は失敗そのものである。次も事実上失敗なのだが、約束を守っていないという話なので、約束を果たす可能性がまったく無い訳ではないから、あえて居直り、「課題」として挙げておく。ITpro上に書いたコラムの中で、筆者はしばしば読者に約束をした。「その点については追って書きたい」「取材をしてから報告する」といった具合である。きちんと約束を果たした場合もあるが、そのままになってしまったものも少なくない。また、ある時の「記者の眼」において長年の宿題を一気に片付けると宣言、先々のコラム公開予定日まで書いたことがあったが、これまた挫折し、読者から批判コメントを頂戴してしまった。その記事も現在読むことが可能だが、非常に辛いのでリンクは張らない。

2009年から管理職に

 7年間の活動の成果と課題ないし失敗を比較すると、成果のほうがはるかに大きかった、と断言したいが、課題ないし失敗を列挙してみると、そうとも言い難い。宿題をなんとかしなければと思うものの、とにかく12月31日で記者の活動を停止するので、お許し願いたい。

 記者を引退し、2009年1月1日から何をするのか。紙の雑誌である日経コンピュータの編集長を務めることになった。20人近い編集部の管理職となる。管理職になるのは初めてである、と書こうとしたが、よく考えてみると、日経ビズテックの開発の時、3カ月ほどであったか、「開発室長」をやった。ただ、23年間の経歴のうち、わずか3カ月だから、やっていないに等しいだろう。「経営とIT」サイト編集長は名乗っていたものの、これはプロジェクトリーダーという意味であり、部下がいたわけではない。

 雑誌の編集長とは、自分で原稿を書くのではなく、編集部の記者、あるいは外部の寄稿者の方々に原稿を書いてもらう役回りである。日経コンピュータはITproを通じて、各種の記事や日々の出来事に関する短い記事など、多数のコンテンツをネットで発信している。2009年以降、さらに新鮮なコンテンツを提供することで、ITpro読者の皆様のお役に立ちたいと思っている。現在お休みしている『動かないコンピュータForum』や『Enterprise温故知新』もなんらかの形に仕立て直し、再始動させたい。

 改めまして、長年のお付き合いに感謝します。引き続き、2009年もよろしくお願いします。ITpro読者の皆様、良い年をお迎え下さい。