最近は,Eee PCやAspire oneなどの小型ノートPCが4万円台で購入できる,ついに14.1インチのワイド液晶モニターを備える通常のノートPCも5万円を切る価格で登場してきている。日本ヒューレット・パッカードの「HP Pavilion Notebook PC dv4a/CT」がそうだ。メモリーは1Gバイト,ハード・ディスクは160Gバイトという十分なスペックである。現在の小型ノートPCの売れ行きを考えると,ノートPC全体の低価格化は避けきれないと筆者は感じている。

 このように低価格なノートPCが普及してくると,ほとんどのデスクトップPCがノートPCに置き換わる可能性が出てくる。ノートPCは,グラフィックス性能などがデスクトップPCよりも劣っているように感じるが,筆者は今春,5万9800円で購入したノートPC上で,3次元オンライン・ゲームを楽しんでいる。高性能なグラフィックス・カードを搭載したデスクトップPCに比べると見劣りするが,ストレスなく遊べる。

 ノートPCに置き換えると,当然デスクトップPCが不要になる。現在はPCリサイクル法があり,簡単には捨てられずに回収再資源料金も発生する。筆者もノートPCを使い始めたころ,キューブ型のPCが不要になった。

 では,不要になったPCをどうしたかといえば,「FreeNAS」というフリーソフトを使ってファイル・サーバーとして再生させた。

10分でファイル・サーバーを構築

 FreeNASは,筆者が今まで試した中で,お金をかけずに最も簡単にWindowsのファイル・サーバーやFTPサーバーが構築できたツールである。CD-ROMから直接起動,あるいはUSBメモリーやハード・ディスクにインストールし,ファイル・サーバーを構築・運用できる。FreeNASのベースとなっているソフトウエアは,Linuxと同様に著名なUNIX系OSであるFreeBSDであり,カスタマイズすればFreeBSDが備える機能も利用可能だ。

 LinuxやFreeBSDと聞くと,“難しい”と感じるかもしれない。たしかにLinux上でファイル・サーバーを作るとそれなりにノウハウが必要だ。Linuxに慣れている筆者が構築しても約半日の時間がかかる。

写真●FreeNASのユーザー・インタフェース。Webブラウザからすべての操作ができる。日本語による表示も可能
写真●FreeNASのユーザー・インタフェース
Webブラウザからすべての操作ができる。日本語による表示も可能
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 しかし,FreeNASはFreeBSDのコマンドや専門用語を知らない,Windowsしか利用したことがないユーザーでも手軽にNASの構築や運用管理ができる。ファイル・サーバーを構築するのにわずか10分くらいの作業で済む。インストールはメニューを選択するだけ,操作や管理はすべてWebブラウザから可能だ(写真)。

 FreeNASの優れている点は,簡単にファイル・サーバーが構築できることだけではない。対応するファイル共有プロトコルは,Windowsの独自プロトコルであるCIFSやSMBに加えて,FTP,NFS,AFP,RSYNC, iSCSI,Unisonなど,多彩である。WebサーバーやiTunesサーバーとしての機能も備える。インターネット上にサーバーを公開するためにはドメイン付きホスト名が必要になるが,これを動的に割り当てるダイナミックDNSも簡単に設定できる。

 また,ソフトウエアRAIDの設定や各種監視,データのバックアップやリストアなどをWebブラウザから実施可能だ。CPUやメモリー,ハード・ディスクの状態,ネットワークのトラフィックなどの細かな運用管理ができることも魅力である。

 ちなみに,2008年12月8日に発売された日経Linux2009年1月号の「特選フリーソフト」でFreeNASの導入手順を紹介している。ご興味をお持ちの方は,参考までにお読みいただきたい。