対策の一つは自動化

 日経コンピュータ2008年7月15日号の特集『うっかりミスは無くせる』で取り上げた通り、ミスの再発を防ぐには手作業の自動化など運用手順そのものを見直す必要がある。

 今回寄せられた回答の中で、自動化について「オペレータがキーボードで入力していた運用コマンドを自動発行するようにした」「紙に印刷されたデータを手入力していたのをExcelマクロを組んで自動入力するようにした」といった例があった。

 ミスが起こりにくいように作業手順を変えた例としては、「通常は参照専用のアカウントを利用し、本番環境で更新などの操作をする場合は別のアカウントを使う」「開発担当者が本番環境を操作しないようにする。作業が必要な際は、開発担当者が作成した手順書に従って運用担当者が作業する」といったものがあった。この対策を施した読者によると「面倒だが誤操作は防げるようになった」という。

 ただし、有効策と言える回答は、うっかりミスに直面した127人のうち1割程度であった。それ以外の回答者の中には「対策と呼べるようなことは何もしていない」と正直に答えた方もおられた。また、「チェックを二重化した」「二人で確認していたのを三人で確認するようにした」といった対策も寄せられた。ただし、作業手順を見直していない以上、ミスは減るかもしれないが人間が関与する限り、問題はつきまとう。

「作業者の意識改革が必要」との指摘も

 悩ましいことに、自動化についても限界がある。システムの運用現場の作業をすべて自動化することは難しい。手作業が介在するから苦労は続く。どうするか。もう一つの対策として「作業者の意識改革を促す」という指摘を紹介する。

 「ミスが業務に与えた影響の大きさを作業者に認識させた上で、作業者の単独ミスという見方でなく、作業指示者、作業者、チェック者を含む組織のエラーとして取り扱った」「関係者全員で原因の特定をした」といったアプローチである。

 日経コンピュータの特集で書いた通り、「ミスをするな」と圧力をかけたり、ミスした作業者を叱りつけたしてもミスは減らない(関連記事『叱るより真因を追究、対策べからず集』)。作業者が自ら「ミスしないように仕事をこなそう」と強く意識する作業環境を用意することが必要ではないだろうか。

 最後に読者から寄せられたコメントを紹介する。改めてコメントを書いて下さった読者にお礼を申し上げる。昨日(11月27日)公開された別の記事『情報システムの“うっかりミス”問題はなぜ注目されたのか?』の中で述べた通り、うっかりミスが問題だと騒ぐだけではなく、地道な対策についても取材し、報道していきたい。