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記者の眼

日本の技術のチカラを世界に

岩元 直久=ITpro 2008/06/05 ITpro

 毎年恒例のNHKの技研公開が,2008年5月末に東京・世田谷のNHK放送技術研究所で開催された。「技術のチカラがテレビを変える」をテーマに,スーパーハイビジョンや3Dテレビなどの将来のテレビ像や,テレビ番組制作現場で今後活躍するだろうさまざまな技術を提示するイベントだ。

 筆者は,一般公開に先駆けて実施した記者向けのプレビューに参加した。スーパーハイビジョンシアターの大画面超高精細の映像に今年も感銘を受け,また進歩し続ける技術研究の成果に接することができた。

 NHK放送技術研究所の谷岡健吉所長は,記者向けプレビューの挨拶の中で,「スーパーハイビジョンが家庭に入ったらどんなにすばらしいかを来場者に伝えたい」と語った。2011年の地上波放送の完全デジタル化まで3年あまりになり,次世代のテレビ像を明確に示したいとの意志を表したものだ。谷岡所長は「カラーテレビが普及し始めた40年前には,技研ですでにハイビジョンの研究を進めていた。地デジの方式も技研が中心になって開発したもの」とNHK技研の“チカラ”をアピールした。次世代の技術もNHK技研が担うという意気込みを感じた。

成果を得られる「グローバル連携」に

 谷岡所長がもう一つ掲げていた課題が,グローバル連携である。「特にこの2~3年,海外の放送局との連携を強めている。今回の技研公開でも技術の国際化の取り組みを紹介している」(谷岡所長)。 実際,英BBCと共同研究している,スーパーハイビジョンの圧縮符号化技術を展示。また9月にアムステルダムで開催される国際放送展では,BBCなどと共同でスーパーハイビジョンを光ファイバーと衛星を使って国際中継することも明らかにした。

 NHKの技研公開を見ると,日本には基礎研究から応用分野まで,幅広く技術開発の力があることを感じさせられる。これは放送分野に限ったことではなく,例えばNTTグループの研究なども世界をリードする部分があることは間違いないだろう。

 しかし,こうした日本の“技術力”はうまく生かされているのか。技術開発への投資を,国内だけでなく国際的なマーケットの中で回収するような流れになっているのか。ここにはやや疑問が残る。

 例えば,アナログ方式のハイビジョンは,先端的ですばらしい技術だったことは間違いないだろう。だが,この方式がそのままの形で広く使われることはなく,投資を回収できたかといえば否だろう。地デジの方式も,日本ではもちろん採用されたが,あとはブラジルで使われている程度。欧米などではそれぞれ別の方式が開発・採用されている。NTTドコモが中心になって開発した第3世代携帯電話方式は,W-CDMAとして国際標準のひとつになったけれども,世界は一世代古い技術であるGSMに席けんされている。コンピュータの分野では,舶来の技術なしには何も語れないのが現状だろう。

 せっかく研究者や技術者が知恵を絞り,開発した技術。これが国内だけの閉じたものになってしまったり,使われないものになるのは惜しい。逆に日本発の技術を“国内だけで使う”ことで国際的に孤立した状況になるケースでは,開発投資が有効に生かされないだけでなく,利用者の利益や利便性を損ねているとも考えられる。

 これは研究者や技術者に責任を覆い被せることではない。デファクト・スタンダードや国際標準として,開発した技術がきちんと“使われる”ようにする姿勢が,国内の企業や組織に不足しているのではないだろうか。

 NHK技研の一般公開だけでも,数多くの研究・開発が着々と進められていることが分かる。もちろんその中には,NHKや国内の放送局で実用的に使われていく応用技術はあるだろう。その一方で,スーパーハイビジョンの研究・開発にかけるコストや能力が,無駄にならないでほしいと思う。「グローバル連携」が意味するところの答えがどこにあるのか,それは筆者にはまだ見えていない。とは言え,NHKに限らず,次世代に向けて開発した成果をぜひ「世界で使われる技術」として広め,国内に利益をフィードバックしてもらいたい。日本にはまだ優秀な人材と技術があるのだから。

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