「意外にC/C++の人気が高いのか」「プログラマには転職しやすいイメージがあるんだ」――。これらは,著者がアンケート結果を集計しながら感じたことである。

 読者の皆様のおかげで,日経ソフトウエアは2008年7月号をもって創刊10周年を迎えることができた。その関連企画の一つとして,ITproと共同で,「プログラミング/プログラマに関するアンケート」を実施した。

 この「プログラミング/プログラマに関するアンケート」は,2008年4月9日(水)~4月14日(月)の6日間,日経BP/日経BPコンサルティングのWebアンケート調査サービス「ITpro Research」の登録モニターを対象に,専用Webサイト上で実施したものである。回答者総数は3003人。回答者の年齢構成は,40才代が最も多くて39.4%,続いて30才代が34.8%,50才以上が19.3%,20才代が6.2%だった。3003人のうちプログラミング経験があると回答したのは2124人。ご回答いただいた皆様,どうもありがとうございました。この調査結果については,日経ソフトウエア2008年7月号の特別企画「プログラマはコレが好き!」に詳しく掲載しています。

プログラマはどの程度大変?

 現役プログラマおよび普段はプログラムを書かない人の両方を対象にした「プログラマに対して,どのようなイメージをお持ちですか」という質問では,「転職しやすい」(26%),「やりがいがある」(19%)といった回答が多かった(図1)。この結果を見る限り,プログラマという職業には「転職しやすい」というイメージが強い。その一方で,「生活が安定している」と回答した人がわずか1%にとどまった。両方の結果を合わせて考えると,プログラマは「転職はしやすい反面,あまり安定はしていない」職業と見られているようだ。

図1●プログラマに対するイメージ
図1●プログラマに対するイメージ

 この設問では,プログラマに対して比較的ポジティブなイメージを選択肢に用意したこともあってか,「その他」(26%)と答えた人も多かった。「その他」では,自由記入欄を設置し,選択肢以外のプログラマに対するイメージを書いてもらった。そこでは,「スキルで勝負できる」「創造的な職業」といったポジティブな内容の書き込みもあったが,全体的には「大変そう」「残業が多い」「きつい」といったネガティブなイメージがほとんどだった。自由記入欄の内容の98%弱がネガティブな意見で占められていた。

 以上は,プログラマ以外を含む全回答者によるものだが,「仕事のみでプログラムを書く」という883人だけに限定して集計すると,その3割を超える269人が「やりがいがある」を選んでいた。現役の職業プログラマは総じて,「大変だがやりがいのある仕事」ととらえているようだ。また,希望的観測かもしれないが,プログラマ自身よりもその外部の方が仕事の大変さをイメージとして持ち,喧伝する傾向にあるのではとも感じた。

意外に? やっぱり? C/C++が人気

 プログラマに対象を絞って聞いた「一番好きなプログラミング言語」は,「C/C++」(24%)が最も多く,「Visual Basic(VB)」(20%),「COBOL」(13%)と続いた(図2)。企業の基幹システムに浸透しつつあるJavaや,Webアプリケーション関連で使われることの多いスクリプト言語は,上位3位までに食い込むことができなかった。

図2●プログラマが好きなプログラミング言語
図2●プログラマが好きなプログラミング言語

 ちなみに,この設問の自由記入欄には,「アセンブリ言語」「FORTRAN」「ABAP(Advanced Business Application Programming)」といった意見も少数ながらよせられた。選択肢には,著者の周りでは関心が高まりつつあると感じていた「関数型言語」も設けていたのだが,好きな言語として選択した人は一人もいなかった。

 一番好きな言語と対比する格好で「最もよく使っているプログラミング言語」も聞いてみたが,ここでは「C/C++」と「VB」の順位が逆転,「VB」が一位だった。

OSに比べて新バージョンへの移行が進むWebブラウザ

 それではプログラマは,どのようなシステム環境を使ってプログラミングしているのだろうか。

 「プログラミングに使っているOS」では,「Windows XP」(58%)と「Windows 2000」(9%)という回答が,合計で約7割を占めた(図3)。最新バージョンの「Windows Vista」と答えた人は3%にとどまり,Linux(7%)やSolaris(3%)よりも低い結果だった。自由記入欄を見る限り,「社内の開発環境がVistaに対応していない」「プログラミングにはXPで十分」といった理由で,現時点ではVistaは必要ないと感じているプログラマが多いようだ。

図3●プログラマが,コードを書くために最もよく使っているOS
図3●プログラマが,コードを書くために最もよく使っているOS

 その一方で「よく使っているWebブラウザ」では,「Internet Explorer 6」(36%),「Internet Explorer 7」(30%)と続く(図4)。最新バージョンのIE7に関しては,筆者がより注目していた「Firefox」(21%)や「Sleipnir」(6%)を大きく上回る結果が得られた。IE6とIE7だけで,6割強を占めていることがわかると同時に,IE6からIE7への移行が順調に進んでいることがうかがえる結果となった。

図4●プログラマが,最もよく使っているWebブラウザ
図4●プログラマが,最もよく使っているWebブラウザ

プログラミングの息抜きはいろいろ!

 最後に「プログラミングの合間で息抜きにすること」のアンケート結果について触れておこう。息抜きに関しては,結果だけをみるとほとんど当たり前に思われるかも知れないが,「コーヒーやお茶を飲む」(277件),「Webニュースなどを閲覧する」(241件),「喫煙する」(166件),「散歩をする」(77件),「体操やストレッチをする」(52件),「ゲームに興じる」(47件),「寝る」(32件)の順に回答数が多かった。

 ただし,自由記入欄をみると,さまざまな息抜き方法があるようだ。「座禅を組んで瞑想する」「麻雀をする」というのもあれば,「アイドルのプロモーション・ビデオを見る」というのもあった。また,「プログラミング自体が息抜き」といった強者(つわもの)による回答も複数あった。趣味と息抜きは違うものながら,著者が関連記事「プログラマはサイクリングがお好き?」で予想していたサイクリングについての回答は,残念ながら一つもなかった。

 前述した本誌の記事にはこのほか,プログラマが使用している開発環境や好きなノートパソコン,注目している技術などに関するアンケート結果を掲載しているので,こちらもぜひご覧いただきたい。