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記者の眼

日経SYSTEMS

ツール調査で分かった「キラリと光る逸品」

2008/05/27
西村 崇=日経SYSTEMS

 「へえ,このツールが開発現場のITエンジニアから高い評価を得ているのか」。「開発支援ツール徹底調査」の結果を集計しながら,記者は,こう感じることがたびたびあった。

 この調査は,2008年3月から4月にかけて,インターネットで実施したもの。3月に公開した「『開発支援ツールの重視ポイント』を教えてください」という記事で,ITproの読者の皆さんに,ご協力を仰いだ調査だ。おかげさまで,ほぼ1カ月の調査期間中,2665人のITエンジニアにご回答いただいた。ご協力,本当にありがとうございました。詳細な結果は,5月26日に発行した日経SYSTEMSの6月号,特集1「開発支援ツールの利用実態」で紹介している。

 この調査では,回答者がここ1年で利用した開発支援ツールについて,総合満足度に加えて「インストールや初期設定がしやすい」「個人やチームのメンバーが使い方を覚えやすい」「ツールの機能が充実している」といった11種類の評価項目について満足度を尋ねた。利用した開発支援ツールは「分析/設計」「プログラミング」「単体テスト」「機能テスト」「負荷テスト」「変更/構成管理」「プロジェクト管理」の7分野に分けて調査した。

記者が注目した三つの商用ツール

 調査結果の集計作業を通して,記者が特に注目したツールは三つある。システムインテグレータが開発・販売するOracle Database用の開発支援ツール「SI Object Browser」,チェンジビジョンの分析/設計用ツール「JUDE」,エンピレックスの負荷テスト・ツール「e-Load」だ。

 記者は当初,大手ソフト・ベンダーのツールや有名なオープンソースのツールに高い評価が集まるだろうと見ていた。大手ソフト・ベンダーが提供するツールは機能が豊富だし,オープンソースのツールは,無償で便利な機能を使えるメリットがある。ところが,これら三つは,必ずしも大手とは言えないベンダーの製品。それなのにITエンジニアからは高い評価を得ていることが記者の眼を引いた。

 SI Object Browserは,「単体テスト」「機能テスト」というテスト2分野で,JUDEは「分析/設計」の分野で総合満足度ランキングのトップとなった。e-Loadは「負荷テスト」の中で総合満足度ランキングは3位だったものの,11種類の評価項目のうちの八つで,トップの成績を収めた。

「こんなことできないの?」を製品に反映

 「なぜ,これら三つのツールの満足度が高いのだろうか」。素朴な疑問を持って3社を取材した結果,機能強化やサポートをする体制が手厚いことが分かった。これが満足度を押し上げている要因になっているらしい。

 SI Object Browserは,バージョンアップの際,ツールに盛り込まれる機能の半分が,ユーザーからの要望を反映させたものだと分かった。ユーザーからの要望は,システムインテグレータのWebサイトなどから,バグの指摘などとともに受け付ける。システムインテグレータの梅田弘之氏(代表取締役社長)は「『こんなことはできないの?』という要望のなかには,開発している側では気づかないものも少なくない。機能強化の際,大変参考になっている」という。

 SI Object Browserでは,データベース・テーブル内容の表示画面でマウスを右クリックすると,テーブル上のデータ件数や,列の平均値などを確認できる。これも,ユーザーの要望を基に追加した機能の一つだ。この機能を反映させたところ,「使いやすくなった」というユーザーからの反響があったという。

 JUDEを提供しているチェンジビジョンでも,3,4カ月に1度のバージョンアップで,ユーザーから受け付けた要望を反映させている。反映させたのは,印刷をしやすくする,図を作成する際の操作性を向上させるといった,細かい機能だ。

 加えて,要望を反映できたときのユーザーに対するフォローも欠かさない。「ユーザーから受け付けた要望を製品に盛り込めたときには,サポート担当者から,そのユーザーに直接『要望を盛り込むことができました。ぜひ使ってください』というメールを送っている」と,チェンジビジョンの平鍋健児氏(代表取締役社長)は話す。こういった対応がユーザーの満足度を高めているのかもしれない。

米国拠点に問い合わせることなくサポートできる

 e-Loadを提供するエンピレックスは,システムインテグレータやチェンジビジョンとは異なる外資系ソフト・ベンダー。それにもかかわらず評価項目の満足度が高いのは,日本法人主導で機能拡張をしたり,日本法人だけでサポートできる体制を敷いたりしているからのようだ。

 エンピレックスの山岡英明氏(エンタープライズ・ソリューション・グループ 副社長)は「米国拠点に問い合わせることなく,日本法人のスタッフだけでサポート対応ができる。ある日本の顧客企業で不具合が発生したときも,3日で不具合を解消できた」と話す。

 3社が取り組んでいる,ユーザーの意見を取り入れた機能強化やサポート対応は,大手のソフト・ベンダーももちろん力を入れている。そのような中で,3社のツールが高く評価されたのは,力の入れ方が強かったり,入れる方向がよりユーザーの要望に沿っていたりするからではないか。「ユーザーはツールを通して,ベンダーの力の入れ加減を敏感に感じ取っている」。今回の調査結果からは,そんなことが言えるかもしれない。

 まだ開発支援ツールを使っていない読者や,使っていても自分に合わないと感じる読者がいたら,ぜひ今回の特集記事をご覧いただきたい。自分に合った使いやすいツールを探す上で,きっと役立つはずだ。

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