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記者の眼

2008年は“IPTV元年”になるのか?

滝沢 泰盛=日経ニューメディア 2007/12/17 日経ニューメディア

 ブロードバンド(高速大容量)サービスが普及したことで,エンターテインメントとしての映像を楽しむシーンはより身近になってきた。YouTubeやニコニコ動画などの動画共有サービスには,毎日のように「おもしろ映像」が投稿され,ユーザー同士がコメントを付けあったり,ブログと連携させるといった新たなコミュニケーション手段に発展している。

 だが,ブロードバンドが普及し始めた当初は,映像とブロードバンドの関係はもっと違う形で発展することが想定されていたはずだ。家庭の映像機器の主役であるテレビを対象に,ブロードバンド回線経由で放送やビデオオンデマンド(VOD)サービスを配信する「IPTVサービス」がそれである。

 IPTVサービスは,登場は2003年と早かったものの,なかなか普及の軌道に乗ってこなかった。NTTグループ,KDDI,ソフトバンクの通信大手3社がそれぞれサービスを提供し,すでに数十チャンネルの放送,数千タイトルのVODを利用できるようになっている。だがIPTVの利用者数は,3000万件に届こうというブロードバンド契約者全体の1割にも満たないのである。

メーカーやコンテンツ事業者らがテレビ向け配信に参入

 ただ,こうした状況に変化が現れ始めている。2007年には,松下電器産業やソニーなどのメーカー共同出資によるアクトビラや,パソコン向けの映像配信サービス「GyaO」を運営するUSENなどが,VODに特化したテレビ向けサービスに参入してきた。

 さらに2007年中に,放送やVODなど複数のサービスを統合したIPTVサービスの標準的な技術仕様が固まる予定だ。国内の放送事業者や通信事業者,メーカーらで構成するIPTVフォーラムがこの仕様を策定し,どのテレビでも,どの通信事業者でも,同じようにIPTVサービスを利用できる環境を実現することを目指す。

 まずNTTグループが,この仕様に沿って既存のIPTVサービスを刷新し,HDTV(ハイビジョン)画質の映像配信プラットフォームを構築する。2008年春には,NGN(次世代ネットワーク)を使った地上デジタル放送の再送信サービスを開始する予定である。

 このようにサービスの選択肢が増えたり,新しい技術を採用した仕様を普及させようという動きが出てきたことで,2008年は“遅れてきたIPTV元年”になる可能性が高まっている。

NHKアーカイブスなど放送番組の配信解禁が後押し

 2008年に向けて映像配信事業者側ではサービス整備の準備が進んでいる。では,ユーザーのIPTVサービスに対する需要は今まで以上に盛り上がっていくだろうか。カギはやはり,どのような映像が視聴できるか,にある。これまでのIPTVサービスでもCSチャンネルを中心に様々な番組やVODタイトルが視聴できていた。ここからさらにユーザーを引きつけるコンテンツが出てくることが必須になるだろう。

 そこで映像配信事業者らが期待しているのが,HDTV画質の映画やドキュメンタリー,そして地上波放送で流れる番組の提供である。これが実現するかどうかは,IPTVフォーラムの標準仕様を策定する過程に,放送局やメーカーも関わったことが大きく利いてくる。標準仕様に準拠した映像配信システムであれば,放送局も信頼性や品質を確認済みである,ということになるからだ。VODサービスで,放送局が制作した定評のある人気コンテンツがオンデマンドで視聴できるようになれば,IPTVサービスのユーザーへの訴求度は高まる。

 NHKが2008年春に開始を予定している「NHKアーカイブス」のオンデマンド配信事業も,こうした動きを後押ししそうだ。NHKは,今国会で審議中の放送法改正が成立すれば,インターネット事業の拡大が可能になる。これを期に,著作権処理された過去の番組資産を,IPTVサービス向けに提供する考えだ。

 すでに一部のドキュメンタリー番組は,コンテンツアグリゲーター(コンテンツ収集事業者)経由でアクトビラにも提供されており,人気を博しているという。NHKは,視聴者が放送時に見逃した番組を,後からオンデマンドで視聴する「見逃し視聴」も利用できるようにする考えであり,提供タイトル数は一気に増えそうだ。

 こうした動きに合わせて民放からも,徐々に番組提供が進むと見られる。例えば,放送後に様々なメディアで配信することを前提に制作された番組などがある。衛星チャンネル向けの特別ドラマなどがそういった形で制作され始めており,NHKと同様,放送時に見逃したユーザーをフォローする形で配信されるようになると思われる。

課題はテレビと回線の接続,機能の一体化,無線化に期待

 もう一つ,需要を喚起する上でクリアしなければならない課題が,導入時の簡便性や使い勝手である。現状では,IPTVサービスを視聴するためには,専用のセットトップボックスをレンタルか購入で入手し,ブロードバンド回線とテレビの双方につながなくてはならない。この装置を導入する手間があることで,加入をためらうユーザー層がいることを指摘する声も多い。

 この課題も,IPTVフォーラムの標準仕様が登場することで解決すると期待されている。上述のように魅力あるコンテンツが提供されれば,IPTV標準仕様に対応した機能の搭載がテレビ受像機の付加価値につながる。そうなれば,テレビ本体そのものにIPTVの受信機能が一体化されるようになるからだ。

 すでに松下電器産業の「ビエラ」の上位機種には,アクトビラ ビデオのHDTV映像を視聴する機能が搭載されており,接続率も高いという。アクトビラビデオの視聴機能とIPTVフォーラム仕様は統合されることになっており,今後,アクトビラとIPTVフォーラムの両方を視聴できるテレビが開発されることになりそうだ。タイミングとしては,北京五輪が開催されテレビの買い換え需要が起こる2008年8月の前に,一体型テレビが登場するのが,映像配信サービス事業者側の理想的なシナリオだろう。

 またテレビ本体に受信機能を一体化するのと並行して,LANケーブルをつなぐ手間を省くことも,対応テレビ購入者の利用率を高める上で重要になる。無線LAN機能の搭載も要望の高い項目となるだろう。

 こうした2008年のIPTV普及の端緒となるかもしれない動きは,基本的には32型以上の大型薄型テレビでの視聴を前提に考えられた路線といえる。リビングで家族と一緒に楽しむエンターテインメントとして提供されるものだ。

 しかし,インターネットの動画共有サービスも含めた映像全般の人気の集まり方を見ると,小さい画面を前提とした短時間の映像を個人で楽しんだり,動画を中心に仲間内でコミュニケーションができる,といった楽しみ方が急速に広まっている。テレビで楽しむIPTVサービスでも2008年は,中型以下のテレビでの利用も含めた,より個人向けのサービスが見えてくることも期待したい。

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