3G/モバイルWiMAX両対応のスマートフォン

 当然,携帯電話型の端末もある。電話利用では広いエリアで使える必要があるため,3G通信機能とのデュアル端末になっている。モバイルWiMAXは後発の通信規格であるため,カバー・エリアでは3Gに勝てない。音声通話は3Gで行い,データ通信はモバイルWiMAXで行うという使い方が想定されている。モバイルWiMAXが使えないエリアでのデータ通信も想定して,HSDPAや1x EV-DOといった高速な3G規格にも対応する。

 気になるのは消費電力だが,「携帯電話よりはモバイルWiMAXの方が消費電力は大きい。ただし,電池も含めた端末全体の設計として,従来の携帯電話と同じか,それ以上の電池の持ちを実現する」(LG電子)としている。

写真13●韓国LG電子のWindows Mobile搭載スマートフォン
写真13●韓国LG電子のWindows Mobile搭載スマートフォン
モバイルWiMAXに加えて3G通信機能も備え,W-CDMA/HSDPAに対応するタイプとcdma2000 1x/1x EV-DOに対応するタイプがある。MIMO技術を取り入れたモバイルWiMAXの仕様「Wave2」に対応する。価格は未定で2008年に発売する予定
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写真14●韓国サムスン電子のWindows Mobile搭載スマートフォン
写真14●韓国サムスン電子のWindows Mobile搭載スマートフォン
モバイルWiMAXとcdma2000 1x/1x EV-DOのデュアル・バンドに対応している。価格はおよそ800米ドル(約9万円)。写真は韓国のモバイルWiMAX向け周波数2.3GHz帯に対応した端末。日本や米国でモバイルWiMAX向けに使う2.5GHz帯に対応した製品は,2008年に出荷する予定
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ブロードバンド難民の救世主,モバイルWiMAXをADSL代わりに使うCPE

 展示会では,据え置き型の宅内装置である「CPE」(customer premises equipment)を目にする機会が多い。これは固定ブロードバンドでいうとADSLモデムとブロードバンド・ルーターを一体化したような製品で,ADSLの代わりにモバイルWiMAX回線を使う。VoIPルーターとしての機能を備えるCPEもある。

 主に,現在ブロードバンドを利用できない家庭や地域での利用に向く。発展途上国でのニーズも高く,メーカーが多数の出荷を見込んでいるボリューム・ゾーンの製品だ。それだけに,早期に低価格化することが期待できる。

 なお,無線LANを使うには,モバイルWiMAXのアンテナと無線LANのアンテナをある程度離さないといけないという。その理由は「無線LANの2.4GHz帯とモバイルWiMAXの2.5GHz帯で電波干渉が起きる。コストを掛ければ一体化できるが,かなり高額になってしまう」(台湾ザイセル ワイヤレス・プロダクト・イノベーション・アンド・マネジメント部テクニカル・プロジェクト・マネージャーのコリン・ホー氏)からだそうだ。

写真15●米スプリント・ネクステルが,同社のモバイルWiMAXサービス「XOHM」で提供するCPE
写真15●米スプリント・ネクステルが,同社のモバイルWiMAXサービス「XOHM」で提供するCPE
アナログ電話機と接続するポートがあり,ユーザーはそこにアナログ電話機をつないでIP電話サービスを利用できる。MIMOに対応するため,10メガ級の高速な通信が可能
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写真16●台湾ザイセルの多様なCPE
写真16●台湾ザイセルの多様なCPE
アンテナを屋外に置いたり,無線LANに対応したりと用途に応じたCPEを準備している
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