写真1●野村ホールディングスなどが運営する「man@bow」
写真1●野村ホールディングスなどが運営する「man@bow」
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 日経パソコンは2007年10月8日号で「企業サイトランキング 2007」という特集記事を掲載した。これは、国内の主要500社のWebサイトを対象にして、いかにビジネスにWebサイトを有効に活用しているのかを比較した初の企画となる。

 現在の企業サイトに求められる要件を「基本情報」「ブランディング」「リスク管理」「使いやすさ」「アクセシビリティ(アクセスの容易さ)」の5分野、71個の調査項目にまとめ、各項目への対応度を検証。その結果を得点化して、ランキングを算出した。

 第1位は出光興産。100点満点で91.0点を獲得した。2位は89.0点の富士通、3位は87.0点の日本板硝子と続く。調査対象500社の得点と順位はWebサイト「Strategic Web Design」に掲載している(「日経パソコン」企業サイトランキング 2007)。

 今回は調査項目の1つ、「トップページに子供向けサイトへのリンクを用意しているか」について、少し考えてみたい。業種や目的にもよるが、現在の企業サイトはほとんどが20~50歳の訪問者を主な対象として設計されている。小学生以下の子供たちからすれば、これらの企業サイトのデザインはあまり興味を引くものではなく、内容も理解しやすいとは言えない。

 そこで登場したのが、自社の事業内容や事業に関連するテーマを子供たちにも分かりやすく伝えられるよう、特別に設計した子供向けサイトだ。今回の調査では、トップページに子供向けサイトへのリンクを用意している企業は、500社の中で約50社だった。全体の約1割である。

 例えば、花王の子供向けサイト「花王キッズふしぎワールド」では、「洗たくのふしぎ」というコーナーで、洗たくの仕組みを図解や動画を使って紹介している。今回の500社には含まれないが、野村ホールディングスなどが運営する子供向けの経済情報サイト「man@bow」も独特だ(写真1)。ここには、株取り引きのシミュレーションゲームページへのリンクがあり、株の売買がどういったものかをサイト上で擬似体験できる。

子供を将来の自社ファンにする

 このような、子供向けサイトが増えてきたのは、学校や家庭で子供がネット環境にアクセスする機会が多くなったことが要因の一つだ。国内最大の子供向けポータルサイト「Yahoo!きっず」を運営する、ヤフーサービス統括部企画1部社会貢献企画リーダーの鶴岡弘子氏によると「一定の力を持った企業であれば、企業の社会的責任(CSR)やビジネスの面から子供向けサイトを構築すべき。短期的にはコスト増になるが、中長期的には将来のファンを獲得する意味でも効果が大きい」という。

 例えば、子供向けの経済情報サイト「man@bow」で小さい頃から株の売買に慣れ親しんだ子供たちであれば、将来、大人になった時に実際の株取り引きに興味を持つ可能性が高まることが期待できる。そのほか、企業で働く社員にとっても、自分の仕事を子供に説明する際に役立つことから、社員満足度の向上にもつながる。

 たとえ小学生であろうと、インターネットに対する興味や活用度は大人と比べて無視できない。むしろ、若い世代の方がインターネットに親しみを感じやすい。であれば、若い世代に自社の事業や強みをアピールできるという点で、子供向けサイトは有効な手段になり得る。今後、企業が自社のWebサイトを生かす戦略を考える上で、子供向けサイトの重要度が高まっていくことは間違いなさそうだ。

 「企業サイトランキング 2007」について解説するとともに、ランキング上位企業のサイト責任者を招いて企業サイトをビジネスに生かすための戦略を議論するパネルディスカッションを、2007年11月7日に開催するイベント「NET Marketing Forum Fall 2007」で実施する。ご興味があれば、ぜひご覧いただきたい。