求む「マッシュアッパー支援」サービス

 こういった事情があるからか、Mash up Award 3rdの受賞作品の中には、マッシュアップを使ってWebサービスを開発する「マッシュアッパー」の支援を目的にしたサービスもあった。その1つが「API比較・マッチングサービス」である(図2)。その名の通り、キーワードを基にAPIを検索したり、複数のAPIの概要を比較できるサービスだ。APIの技術仕様を参照できるだけでなく、利用規約やライセンス条件を閲覧したり、似た機能を持つAPIを探したりできる。

図2●API比較・マッチングサービス
図2●API比較・マッチングサービス [画像のクリックで拡大表示]

 同サービスの開発者である、メタデータの野村直之氏は、多くの開発者と話をする中で、このサービスを思いついたという。「マッシュアップによるWebサービス開発では、構想に1カ月、実装は3日などというケースもある。構想段階の作業を効率化できれば、全体の開発期間を大幅に短縮できると考えた」(同)。野村氏が開発したこのサービスは、Mash up Awardの部門賞を受賞している。

 もう1つのマッシュアッパー支援サービスは「StartCommand」(図3)。Web APIに任意の「コマンド」を割り当て、同サイトでそのコマンドを入力することでWeb APIを呼び出せるようにするサービスだ。Webサービスの組み合わせ検証に役立つ。

図3●StartCommand
図3●StartCommand [画像のクリックで拡大表示]

 キーワードによるWeb検索と同様に、StartCommandのサイトにあるウインドウにコマンドを入力して、様々なWeb APIを呼び出せる。パイプラインを使って複数のコマンドをつなぐ、すなわちマッシュアップも可能だ。StartCommandは、最優秀賞に次ぐ「マッシュ賞」を受賞した。

 徐々に増えてきたマッシュアッパー支援サービスだが、まだ十分とは言えない。加えて、今のマッシュアップは、一般消費者向けが中心。企業内や企業間の情報システムに使うためには、効率化にとどまらない開発支援が必要になるだろう。例えばサービスの品質管理や信頼性を担保する仕組みである。

 それでも、マッシュアップは一過性のブームにとどまらず、開発されるサービスの質が向上している。今回のMash up Awardは、それを十分に実感させるものだった。マッシュアップが、企業情報システム開発の新たなスタイルとして定着する日も、そう遠くないと、記者は確信している。