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記者の眼

デジカメとインクジェット、解像度の不思議な関係

仙田 明広=日経パソコン 2007/06/28 日経パソコン

 インクジェットプリンターを使って、デジカメ写真をきれいに印刷するには、どの程度の画素数の写真データが必要で、プリンターの解像度は何dpi(ドット/インチ)くらい必要なのか。みなさんは、お分かりになるだろうか。

 この「最適解像度の探究」というテーマは、昔からいろいろと議論されてきた。しかし現実には、理論に基づかない、いい加減な意見がまかり通っている。例えば、理由なしに「300dpiあれば十分」と書いているサイトもあれば、「解像度が高いほどきれいに印刷できる」というサイトもある。この「混乱」が、きれいな写真を撮って、印刷したいと考えるユーザーを悩ませ、迷わせてきた。

 今回、この“難題”を徹底的に調べる機会を得た。『日経パソコン』2007年6月25日号にて、写真印刷に必要な解像度はどのくらいなのか、それはどのような理由なのか、を明らかにする特集を企画・執筆したのだ。せっかく『記者の眼』を執筆する機会を得たので、この「解像度問題」に触れたいと思う。スペースの関係上、すべてを説明することはできないが、しばらくお付き合いいただきたい。

1500×1051ドットの画像で十分

 まず、結論から述べておこう。デジカメ+インクジェットプリンターの組み合わせで、必要な解像度は何dpiなのか。実はこの値は、人間が認識できる解像度から導き出せる。どんなに細かい画像を印刷したとしても、それを人が識別できなければ意味がない。つまり、「人間の目の限界解像度(視覚限界)=十分な画像解像度」となる。

 では、視覚限界はいくつなのか。結論は「人間の目は、基本的に300~400dpi以上の解像度を区別できない」。この値は、30cm離れた距離(人が写真を見る距離)から、1mm当たりどれくらいの線を人間の目で認識できるのかという実験から導き出された。研究者の間で、空間周波数と視覚特性の関係として知られる議論だ。

 この300dpiを実際の写真用紙に当てはめてみるとどうなるのか。L判の写真用紙(127×89mm)の場合、1500×1051ドットの画像を印刷すると300dpi。つまり、デジカメの設定で1500×1051ドット以上の画素数を指定し、その写真をインクジェットプリンターで印刷すれば、十分にきれいなL判の写真を得ることができる。300万画素以上のデジカメなら、こういった撮影設定を持っている。400dpiだったとしても、2000×1402ドットの画像があればよいことになる。

 そもそも、今のWindowsでは高すぎる解像度の画像は自動的にデータが間引かれ、必要なデータだけがプリンターに送られる仕組みになっている。Windowsが何dpiの画像をプリンターに送るかは、用紙の種類や印刷する対象によって変わる。デジカメで高解像度の写真を撮影し、それを印刷しようとしても、実際にはプリンターが必要ないと考えれば、データを間引くための時間が余計にかかるだけで、画質に影響はないのだ。

プリンターの解像度は何のためのもの

 ただ、ここで一つの疑問が湧く。最新のインクジェットプリンターのカタログを見ると、解像度「9600×2400dpi」あるいは「5760×1440dpi」という数値が並んでいる。この高い解像度は何のために必要なのだろうか。人間の目が300~400dpi以上を識別できないのなら、これほど高い解像度は意味がないのではないか。

 この点については、取材を通して意外なことが分かった。プリンターの解像度と写真の解像度とでは、意味することが異なっているのだ。これを理解するためには、インクジェットプリンターがどのように絵を作り出しているかを理解しなければならない。詳しくは『日経パソコン』を読んでいただきたいが、簡単に説明すると「プリンターの高い解像度は、インクを打つ自由度を得るために必要」ということになる。

 インクジェットプリンターで印刷した画像をルーペなどで見ると分かるが、インクジェットプリンターはインクを非常に多彩に使っている。大きさの違う数種類のインク滴を、微妙に重ね合わせて、自然な写真に仕上げる工夫を凝らす(1mm四方に何十個の点)。正確ではないが、あえて簡単に説明すると、プリンターは何十個ものインク滴を使って、写真データの1ドットを表現する。つまり、写真データの解像度よりも細かな単位で、インク滴をいかに自由に配置するかが、きれいな写真を印刷できるかどうかにかかわっているのだ。

 では、今後もプリンターの解像度がさらに高まっていくかというと、それについては各社とも慎重な姿勢だ。すでに人の目の能力を超えている以上、ユーザーにメリットとして訴えにくい、ということだろう。これからは、画質を落とさずに印刷速度を上げる技術や、機器の省スペース化などが重要になってくる。

 それでも、マーケティング的な要素で、現実には高解像度化を競うメーカーの戦いは終わらないだろう。デジカメで撮影した画像を自宅のインクジェットプリンターで印刷することが当たり前になり、少しでもきれいな画質を求めるというユーザーの欲求は依然強いままだ。このため、デジカメやプリンターだけでなく、デジタル機器全般で、今後は「そのスペックは本当に必要か」を見極める必要があるだろう。技術の本質を見極め、その指標を提示することができればと考えている。

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