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挑戦するということ先日、桑田真澄投手が39歳にしてメジャーデビューを果たした。自分とさほど変わらない年齢のオトコが海を渡り、怪我にもめげず、自分の夢をつかみ取った。素直にカッコイイと思った。40歳にして現役にこだわるプロサッカーの三浦和良選手も、僕が最も敬愛するスポーツ選手だ。彼らにひかれるのは、挑戦し続けているからなんだと思う。 なぜこんな話から始めたのかというと、最近の取材で「挑戦する」ことの大事さを改めて感じたからだ。ユーザー企業のCIO(情報最高責任者)は今、ITベンダーに何を期待しているのか。日経ソリューションビジネスで毎年恒例となっている「CIOの直言」企画を担当した。内容は、6月15日号特集「もっと挑戦的な提案を出せ」をぜひ一読いただきたい。 さて宣伝はここまでとするが、特集のタイトルに「挑戦」という言葉を入れたのには、僕なりに想いがある。それを披露させていただく。
障害が多発する今だからこそ正直、今ほどITベンダーが挑戦しにくい時期はないと思っている。だから、あえて「挑戦」という言葉を使うことにこだわった。 最近システム障害が多発しているのは周知の通り。こうしたこともあって世間では「システムの安定性」を求める声が高まっている。“スパゲティ状態”のシステムを見直すべきだとの意見があれば、システム全般を見渡せるIT人材の育成を急がねばならないとの指摘もある。どれも間違ってはいないが、聞いても元気が湧いてこない。 いずれにせよトラブルを題材に、システムに対する厳しい見方が強まっていることが、システムの仕事に携わる担当者たちを萎縮させている。システムの役割の重要性を感じ、その仕事に使命感を持っている人が多ければ問題などない。でもそうなっていないだろう。システムの仕事をしている多くが、やるせない気持ちでいるんじゃないだろうか。 「どうすれば、より安全で落ちないシステムを作ることができるのか」を必死で考えているITベンダーの担当者は多い。「手堅く安全に」ということを優先している方々に対して「挑戦しよう」なんていう記者の発言は、“季節はずれ”かもしれない。でももう少し、続きを読んでいただきたい。
「挑戦してほしい」とANAも願っているITベンダーの担当者が「挑戦」という言葉を聞くと、どういうことを思い浮かべるだろう。リアルタイム・システムを作る。多機能なシステムを開発する。従来にない堅牢なバックアップ体制を敷いたシステムを構築する・・・ いずれも違う。そう僕は思う。これはユーザー企業の要求を“御用聞き”しているだけであって、チャレンジとは違うんじゃないか。ではどういうことが挑戦なのか。 ジャストアイデアだが、ユーザー企業が開発納期を「1年」と言ってきたら、「半年で作る」と進言し、“開発期間短縮バリュー”を料金として大目に徴収するというのはチャレンジだと思う。難しいことだからだ。ITベンダーの営業担当者であれば、提案書のひな形にちょっとお化粧するといった機械的な作業ではなく、自分の経験や知識を総動員して、自らの言葉でオリジナルな内容を盛り込んでみるというのも立派な試みだ。 言うのは簡単だが、実践は難しい。でも今CIOは「果敢に挑む姿勢」をITベンダーに求めている。日興シティグループ証券の池原進CIOは「ITベンダーには、新しいITサービスの在り方や提供形態について考え提案してほしい。そこで得られるメリットやリスクについては、ITベンダーと共有したい」と語っている。 今回の特集の取材では、全日本空輸(ANA)の佐藤 透執行役員IT推進室長にもインタビューした。システム障害が発生する2週間前のことだった。そこで佐藤氏はこう述べていた。「これまでの取引先だけにこだわらず、新たなベンダーとも手を組みたい。だがなかなかコンペに名乗りをあげてくれる会社が減っていて困っている。当社のような大規模システムには困難が付きまとうとはいえ、もっと積極的に参加してもらいたい」。偶然かどうかは別として、ANAも巨大システムの開発・運用・保守の現行体制に満足していたわけではなく、チャレンジジャーを求めているのだ。 ITベンダーの多くが掲げる「安全志向」「管理強化」というスローガンを否定はしない。でもそれだけではユーザー企業は、ITベンダーをパートナーとして認めない。それでは現場の担当者の士気も上がらないと思うのだ。システムの仕事に取り組む1人ひとりが、挑戦意欲を高めるという方向性で仕事に臨む。そうすればITベンダーは、ユーザー企業にとっての“業者”からパートナーへと変身できるはずだ。それは、この業界が抱える多くの課題の解決につながる気もしている。どうだろうか。その辺りを探ることにトライしてみようと考えている。
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