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| 写真1●Windows Vistaの「セキュリティが強化されたWindowsファイアウォール」の操作画面 [画像のクリックで拡大表示] |
一方のFedoraは,「netfilter」と呼ぶファイアウオール機能を標準で備える。送受信のトラフィックに対応でき,Vistaの「セキュリティが強化されたWindowsファイアウォール」と同程度の機能を実現できる。
次は,侵入攻撃に対する機能である。先日公開された記者の眼,「『ゼロデイ』とは戦うべきか,付き合うべきか」の中でも紹介されているが,ゼロデイ攻撃に備える機能を見てみよう。
ゼロデイ攻撃とは,ソフトウエアのセキュリティ・ホールに対し,修正用パッチの提供前やユーザーがそのパッチを適用する前に,仕掛けられる攻撃である。仕組みは異なるが,VistaとFedoraのいずれにも,対策機能が備わっている。
まず,VistaとFedoraのいずれも,システムのメモリー配置を起動のたびに変える(ランダム化する)ことで,攻撃を受けにくくする「ASLR(Address Space Layout Randomization)」機能を持つ。
さらに,VistaとFedoraはともに,本来データを書き込むメモリー領域では命令を実行させないようにする機能を持つ。この機能はCPUのメモリー保護機能を利用したものだが,Fedoraはこれに加えて,メモリー保護機能に非対応のCPUを搭載したパソコンでも同等の機能を提供する「Exec-Shield」機能も備える。
これらの機能により,ゼロデイ攻撃で狙われることの多いバッファ・オーバーフローに両OSともに対処している。
Vistaでは,ハード・ディスク内などのデータを暗号化する「BitLocker」という機能が加わった。パソコンを盗まれてしまったときでも,ディスク内のデータを読み出されないようにするものだ。同等の機能は,Fedoraにも備わっている。「dm-crypt」機能だ。
BitLockerとdm-cryptの大きな違いは,利用者の認証方法である。データを読み出すときの認証に,LinuxではパスワードかUSBメモリーを使うが(Fedoraの標準ではパスワードのみ),VistaではTPM(パソコン側に設置されたセキュリティ・チップ)やUSBメモリー,パスワード,これらの組み合わせなどが利用できる。また,Vistaには,ファイルやディレクトリ単位で暗号化する「EFS」が備わるが,Fedoraには標準でこの機能はない。
一方,Fedoraでは,Vistaにない「強制アクセス制御」を実行できる。強制アクセス制御とは,管理者であってもあらかじめ決められたルールに従ってアクセスを制限されること。仮に管理者権限を奪われても,被害がシステム全体に及ぶことを防ぐ機能だ。Fedoraでは,「SELinux(Security-Enhanced Linux)」というセキュアOS機能を使って,強制アクセス制御を実現している(写真2)。
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| 写真2●Fedora Core 6のSELinuxの設定画面 |
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以上,両OSが備える主なセキュリティ機能を簡単に紹介してきた。実際には,機能だけでなく,使い勝手などを考慮して比較する必要があるだろう。例えば,Fedoraでファイアウオールを細かく設定するときには,コマンドラインから操作しなければならないが,Vistaではマウス操作で行えるなどの違いもある。
日経Linux2007年7月号の第1特集「Fedora vs. Vista セキュリティ全面対決」では,セキュリティ機能の仕組みから使い勝手までを含めて,両OSのセキュリティ機能を比較した。クライアントOSでのLinuxの利用が広がるにつれて,「Linuxを攻撃するウイルスは少ないから,セキュリティ面は心配ない」という主張は通用しなくなるだろう。Windowsを評価基準にしてLinuxのセキュリティ機能を見つめ直す意味は大きいと考える。