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特集の執筆に参考になった“名言”直接的に記事中に反映することはないものの、その記事を書く上で取材先にご協力いただくことがある。例えば、これまで取材したことのある方に、「今度こんな記事を書こうと思っているんですが」などと自分が考えていることをお伝えし、それについてどう思われるかを聞いて回る、というものだ。記者なりの“マーケティング活動”である。 今回の記者の眼ではそのような、取材先との会話の中からお聞きした“名言”をご紹介したい。日経コンピュータ4月16日号特集「ITがあってこそ」の企画を固めるまでにお会いした方々からいただいたものだ。いずれも記事に出ることはなかったが、記者が参考にしたものである。 ITのためにITを使い、ITを実行する これはある企業のシステム部長からお聞きした言葉だ。通常「IT」はInformation Technologyの略だが、そのシステム部長は、「なぜITを使う必要があるのか」、「ITで何をするのか」も「I」と「T」から始まる英単語でまとめている。1つめの、ITを使う理由としては、「Innovation(革新)」と「Transformation(変革)」。2つめのITで実行することとしては、「業務のIntegration(統合)」と「業務のTransparency(透過性)を向上させる」の2つを挙げる。3種類の「IT」を使い分けることで、企業情報システムの本質をよく言い表せていると思う。 この言葉からいろいろなことを読み取ることができる。「業務にInnovationとTransformationを起こさない情報システムの導入は意味がない」といえる。業務を合理化するのではなく、業務を統合することが情報システムの役目である、というお考えもみてとれる。情報システムをコストダウンの道具としてだけでなく、戦略的に活用する必要がある今にふさわしいと思う。 競争力強化には2つの「基」が重要 これはあるコンサルタントからお聞きした。1つめの「基」は「基幹」。会計、販売管理といったいわゆるバックエンドのシステムだ。2つめの「基」は「基盤」。ここでの基盤はハードやネットワーク、ミドルウエアだけでなく、基幹システムで扱うデータのコード体系なども含む。「新事業を立ち上げる、柔軟な顧客対応を実施する、といった目的のために、どんなに戦略的な新システムを作っても、結局2つの『基』の質に依存してしまう」とそのコンサルタントは話す。 2つの「基」が重要な理由は、事業におけるビジネス・プロセスを考えると、最終的に基幹系システムでの処理に行き着いてしまうからだ。今回の特集の取材でも、「顧客対応のビジネス・プロセスを改革しようとしたら、結局基幹系やコード体系を見直さなければいけなくなった」と話すシステム担当者が複数人いらっしゃった。“小手先の戦略システム”を開発するのではなく、全社のITアーキテクチャの整理、運用ルールの策定を含めたITガバナンスの実施などを地道に進めていくことが、システムの柔軟性を高め、結果としては企業の競争力強化につながるのである。
スクーターがあったから宅配ピザが生まれた これもある企業のシステム部長のコメントだ。システム部門にとっての道具はIT。ITの使用を前提とした仕組みを作ることで変革を起こすことができるという意味だ。これは、今後のシステム部門が進むべき方向を示唆していると思う。ITを前提とした仕組みを作るには、ITの特性をわかっていなければいけない。つまり、「ITがよく分からず、ユーザー部門の要件を取りまとめることしかできない」ようなシステム部門ではダメだ、ということが読み取れる。 以上のようなお言葉を参考にした結果、どのような記事になったかは、最新号の特集「ITがあってこそ」を読んでいただきたい。特集には商品の販売促進に情報共有システムが一役買った事例や、販売後の商品の使用状況をトラッキングするシステムによって、競合他社にはない顧客サポートを実現している事例などを掲載した。いずれも、各社の事業部門の方が「当社のビジネスに貢献している」と実感されているシステムだ。 加えてお伝えするなら、今号は日経コンピュータ全体のコラム構成を一新する誌面刷新号である。それにふさわしい前向きな特集にしたつもりだ。企業システムの構築や運用に携わっている方々にお読みいただき,「自分たちの仕事がは企業経営の役に立っているんだ」ということを再確認していただけたら幸いである。
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