アジアで,オープンソース・ソフトウエアの普及を推進しようとする動きが進んでいる。
![]() インドネシアで開催されたアジアOSSシンポジウムの会場 [画像のクリックで拡大表示] |
アジアOSSシンポジウムは,2003年から日本とアジア各国政府によって開催されてきた,オープンソース普及を目的とした会議である。8回目となる今回は,インドネシアのバリで開催された。日本や欧米を含め20カ国から100人以上が参加した。
オープンソース・ソフトウエア導入の目的はコスト削減とされることが多い。確かに新興国にとってコストの低さは大きな魅力だ。しかし,シンポジウムでの発表や議論を聞いて,記者は,彼らがオープンソースに本当に求めているのは,別のものなのではないかと考え始めていた。
インド:政府がデスクトップLinux BOSSを開発
![]() インドから参加したVenkataram Narayam氏とMadras M.R.Rajagopalan氏 [画像のクリックで拡大表示] |
![]() インド政府が作成したLinux BOSS(Bharat Operating System Solutions) [画像のクリックで拡大表示] |
インドでは政府のオープンソース推進機関として,NRCFOS(The National Resource Centre for Free/Open Source Software)が置かれている。研究開発のほか,配布,人材育成,政策立案のための調査などを行っており,情報省の研究機関CDAC(先端コンピューティング開発センター)が実際の運用を行っている。
The Linux Foundationが策定するLinux標準仕様LSB(Linux Standard Base)への準拠を調査するLSB Certification Labと呼ばれる組織もある。
NRCFOSが開発しているLinuxディストリビューションがBOSS(Bharat Operating System Solutions)である。Debian GNU/Linuxをベースに,政府・教育向けに整備,ローカライズしたものだ。入力メソッドはSCIMで,タミール語,ヒンズー語,パンジャブ語,マラティ語に対応している。OpenOffice.org 2.0.1をローカライズしたBharatheeyaaOOを搭載している。BharatheeyaaOOは現在タミール語,ヒンズー語に対応している。
人口11億人の大国だけに,コミュニティも多数ある。NRCFOSのサイトに,数十のLinux User's Groupなどコミュニティへのリンクがある。インドには非常に多くの言語が存在する。そのためローカライゼーション・プロジェクトも多数存在している。
ベトナム:OSSマスタープランを首相が承認,省庁などで利用
![]() ベトナム科学技術省 Nguyen Trung Quynh氏 [画像のクリックで拡大表示] |
![]() ベトナムの民族衣装である笠をかぶったペンギン [画像のクリックで拡大表示] |
ベトナムから参加したのはNguyen Trung Quynh氏。科学技術省のIT Office担当だ。
ベトナムでは2004年,「OSSマスタープラン」を首相が承認,署名している。このプランに65の省庁機関が参加しており,77%の機関がオープンソースを使用しているか,使用する計画を立ている。計画していないが使用しているのが15機関で,使用していない機関はゼロだという。まだ台数は少ないが,最も大きい例では270クライアント,50サーバーで使用しているという。RedhatもしくはFedora Coreを使用しているのが23機関,OpenOfficeが23,Firefoxが22部署である。