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記者の眼

平成電電破綻の次にあるもの

市嶋 洋平=日経コンピュータ 2007/03/14 日経コンピュータ
写真1 平成電電は有名企業が入居する恵比寿のビルに東京本社を構えていた
写真1 平成電電は有名企業が入居する恵比寿のビルに東京本社を構えていた
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写真2 2005年10月,都内で民事再生法について記者会見に臨んだ佐藤代表取締役(当時、中央)
写真2 2005年10月,都内で民事再生法について記者会見に臨んだ佐藤代表取締役(当時、中央)
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 固定電話のサービスを提供する通信事業者のトップが詐欺の疑いで逮捕--。

 2007年3月5日,驚くべきニュースが新聞やテレビを賑わせた。捕まったのは,格安電話の「CHOKKA」を手掛けていた通信ベンチャーの平成電電の佐藤賢治元代表取締役ら計5人。容疑は3人の投資家から,通信機器への投資と称して2005年8月頃に1億円の現金をだましとったということだ。

 これだけではない。平成電電とその関連会社は約1万9000人もの投資家から,およそ490億円もの資金を集めているという(写真1)。このうちのどれだけが実際に通信機器の購入にに当てられたのか。また,いつの時点で破綻の可能性を認識していたのか,といった事が争点となりそうだ。

 事件の全容解明については,警視庁の捜査や起訴後の裁判を待つしかない。しかし,今回の問題は通信サービスを利用するユーザーに大きな教訓を残した。利用者の「自己責任」の度合いが増しているという点だ。

 筆者は平成電電が破綻した1年半前に,「平成電電破綻の理由と真のユーザー保護」という記者の眼を書いた。今回,再度取材をしてみると,これらの状況が変わってきていた。総務省も次なる手を講じようとしている。これをもとに,今後の動きと筆者の考えを述べたい。

 平成電電が破綻したのは,2005年10月(写真2)。その後,ユーザーは極めて不安定な状況に置かれた。破綻時には約15万人の契約者がおり,同社がサービスをやめれば電話が利用できなくなる可能性をはらんでいた。

サービスが止まる可能性もあった

 最悪のシナリオは二つあった。一つめが機器の差し押さえやバックボーン回線の停止によるサービスの中断。同社は破綻前から機器メーカーに対する製品代金の支払いを滞らせていた。破綻前後には,NTTなど回線事業者への料金支払いを停止させた時期があるようだ。

 二つめが平成電電による“自主廃業”だ。2004年に総務省が通信事業の規制緩和を一段と進めた。通信事業者がサービスの提供をやめる際の手続きも,総務省への1カ月前の「届け出」だけで済むようになった。「許可」は必要ない。これは通信事業者としての登録や,通信サービスの開始や料金の設定が「届け出」となったのにともなう動きだ。入るためのハードルだけでなく,出て行くハードルも撤廃されたのだ。

 だが,最悪の事態は免れた。平成電電と同じような「直収電話(NTT地域会社以外の通信事業者が提供する固定電話)」サービスを提供するソフトバンクテレコムが,平成電電のユーザーを受け入れたのだ。2006年6月に譲渡を完了し,10月末にはサービスの移行を完了させた。幸い,ユーザーは同じ番号のまま同様のサービスを継続できている。しかし,それ以前にCHOKKAから他のサービスに乗り換えたユーザーの一部は,電話番号の変更を余儀なくされた。

狭まる“不良”事業者への包囲網

 こうした問題のある通信事業者への包囲網は狭まりそうだ。

 通信事業者を監督している総務省は「通信サービスを所管しており,投資については金融庁の管轄」としてきた。しかし,2006年末には平成電電と同様に強引な資金集めをしていたIP電話事業者「近未来通信」の問題も浮上。総務省は次の一手として通信事業者に「業務改善命令」を下すための条件を電気通信事業法に追加する方向で調整に入っている。

 総務省は従来,「特定の者(ユーザー)に対して差別的な扱いを行っている」,「料金についてその額の算出方法が明確でない」など,通信サービスに直接かかわる問題でのみ業務改善命令を下せていた。総務省はこれに「電気通信の健全な発展に支障が生じるおそれ」という要件を追加する法案を今国会に提出。この夏にも電気通信事業法を改正したいとの考えだ。これによって,通信サービスだけでなく,事業モデルを問題視した業務改善命令が可能となる見通し。いわば“伝家の宝刀”を強化するようなものだ。ただ,どの程度の効果があるのかは,法律が施行されてみないと未知数だ。

 通信市場の規制を緩和し開放した結果,参入してきた平成電電によって規制の再強化を強いられる。一連の市場開放によってADSLなどブロードバンドが急速に普及したが,ここにきてマイナス面も出てきた格好だ。

広がるユーザーの自己責任

 ユーザーの「自己責任」の範囲は,広がりつつある。新規参入が平成電電などの固定系から携帯系へ移行しているからだ。携帯電話や回線を持たずに携帯電話のサービスを提供できる「MVNO」,無線LANなど移動系サービスの新規参入がようやく本格化したところ。もちろん,これらの新規参入事業者の多くは,緻密な事業モデルを組み上げている。大手の事業者に比べても,ユーザー・ニーズを細やかに拾ったサービスを開発している。

 移動系の新規参入で、ユーザーは通信自由化の恩恵をきちんと受けることができるのか。通信事業者にはビジネス運営,総務省には市場開放の真価が問われる。

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