今年2月はじめに,あるエンジニアへの取材で「システム開発に携わるエンジニアとツールとの関わり」について尋ねた。すると,「なかには,ものすごくツールに詳しい人がいます。そういう人の多くは,必要に応じたツール選びがうまい」という。

 そのエンジニア曰く,「ツールに詳しい人は,ツールを使って開発作業の負担を軽減したり,作業を肩代わりしてもらったりして,時間を浮かせている。浮かせた時間は,提案や設計内容の検討といった他の作業に充てて,効率よく仕事を進めている人も少なくない」。

 一方で,そのエンジニアは「システム開発の現場で働くエンジニアは,時間に忙殺されている人がかなり多い。あまりに忙しいので,ツールを探している時間を作れなかったり,試してみて自分の仕事に合わせて導入できなかったりしている」と語る。

「何を使ってラクできていますか」を徹底調査

 言うまでもなく,ツールは,開発を進める上で必要な作業の負担を軽減したり,作業を肩代わりしたりするために導入される。ツール選びに時間を割けないエンジニアであっても,会社やプロジェクトの方針によって「このツールを使うように」と指定されて,使うことも多いだろう。

 では,システム開発の現場では,どんなツールが使われているのだろうか。あるいは,使われているツールは本当に役立っているのだろうか。

 「日経SYSTEMS」でも,システム開発の現場で使われるツールを数多く紹介している。しかし今,現場ではどんなツールが使われているのか,それらのツールが役立っているのかどうかは,はっきりしない。

 そこで,日経SYSTEMSは日経BPコンサルティングと共同で,この“素朴な疑問”を明らかにするために,「開発支援ツール徹底調査」を実施する。ここで言う開発支援ツールとは「要求/要件定義」から「テスト」に至る各フェーズや,「変更/構成管理」「プロジェクト管理」といった作業を効率的に進めるために,システム開発プロジェクトのなかで使われるツールを指す。Excelをはじめとするオフィス・ソフトやエディタは除いている。この調査を通して,

(1)日本のシステム開発現場ではどんなツールが使われているか
(2)各フェーズで使われているツールはどれだけ役立っているか
(3)仕事をラクに進めるうえでツールを使う上での工夫は何か

といったことを,調査と調査後の取材を通して提供したいと考えている。

市販ツールを導入しているプロジェクト規模ってどれくらい?

 「どんなツールが使われているか」については,「オープンソース・ソフトやベンダーが提供する無償ソフト」「ベンダーが提供する市販ツール」がそれぞれ,プロジェクトでどの程度導入されているかを調べる。

 「価格が高い市販ツールの導入は小規模プロジェクトでは難しい」「開発環境にはオープンソース・ソフトの方が導入しやすい」といったことをよく聞く。それらが本当かどうかを明らかにしたい。さらに「プロジェクト予算と市販ツール導入に関係があるか」「所属する会社の売上高によって市販ツールを導入するケースは増えるのか」といった分析も行う予定だ。

 各フェーズで使っているツールについても尋ねる。今回の利用実態調査は「徹底調査」と銘打っているため,「要求/要件定義」「システム分析/設計」「プログラミング」「単体テスト」「機能テスト」など10種類のフェーズについて調査票を用意した。さすがに10種類全部に回答いただくのは相当の負担になるので,回答いただく方が携わったフェーズに絞って,質問する仕組みにした。

 「どれだけ役立っているか」については,「作業効率が高まったか」「成果物の品質はアップしたか」という2つのことを調べる。「ツールを入れてエンジニア個人の作業効率が高まっても,成果物の品質がばらついていては,ツール導入の効果は得られない」という話を耳にしたことがあるからだ。現場のエンジニアが,ツールを使うことで「作業効率も上がり,品質もアップ」という実感を本当に得られているのか確かめたい。

「ツールを使う上での工夫」はぜひ取材させてください!

 最後の「ツールを使う上での工夫は何か」については,各フェーズでツールを使っている方に,自由記入で回答してもらう。これをきっかけに,ツールを使って効果を挙げる工夫やコツなどを記者が取材し,誌面で紹介することが狙いだ。

 読者の皆様には,ぜひこの調査にご回答いただきたい(調査サイトへ)。プロジェクト全体や各フェーズでの利用実態と合わせて,「なるべくツールを使ってラクをする工夫」をお持ちならば,ぜひご記入いただきたい。もし可能であれば,「独自に編み出した工夫」や「他のプロジェクト・メンバーにはこれまで秘密だった裏技」についても,ぜひお聞かせください。