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IT業界の“イジメ”の実態を紹介前回の記者の眼「IT業界の“イジメ”に切り込む」で実施したアンケートでは,411人もの方から回答を頂きました。どの回答も「不当な要求や対応の実態」の一端を表す貴重なご意見でした。ありがとうございました。 今回はそのアンケートの結果と不当な要求や対応の実態がどのようなものかを紹介します。
大半のケースが下請けイジメアンケートではまず始めに,優位な立場を利用した不当な要求・対応を経験したことがあるかどうかを尋ねました。結果は,59.1%という過半数の方が「不当な要求・対応を受けた」と回答されました。 続いて,「不当な要求・対応」がどのような構図(立場の違い)で発生したのかを尋ねました。一番多かったのは元請け会社の社員(またはユーザー企業の社員)と下請け会社の社員という構図でした(全体の41%)。その中で声として一番多かったのが,「ユーザー企業からトラブルの責任を一方的に押し付けられる」というものでした。ここからは実際の声をいくつか紹介します。
ケース1: ケース2: ケース3: これらはユーザーの責任感の欠如と,ベンダーをパートナーではなく,単なる“下請け”としか考えていないことが原因だと言えます。この構図は,元請け会社のベンダーと下請け会社でも見られます。続いては,苦しむ下請け会社の声をお伝えします。
ケース4: ケース5:
お金にまつわる強要も多いひどい扱いだけでなく,力関係を背景に,費用を支払ってもらえない,単価引き下げを強要されるという体験談も多くありました。
ケース6: ケース7: ケース8: 無償労働の要求や単価引き下げは,ベンダーからすると到底飲めるものではありません。元請け会社がこのような行動に走る理由は様々です。私が過去に取材した大手ベンダーのPMは,東京本社から地方支店に異動した際に,下請け会社に無償労働を要求したそうです。なんとしても本社に返り咲くために利益を上げなければいけない,という理由でした。単価引き下げを要求した別の元請け会社社員は,「社内の基準単価が低くなったから。相手の経営うんぬんではなく,基準単価を守ることに必死だった」と話します。システム作りは,人と人のコミュニケーションやITエンジニアのモチベーションが大きく影響することを知らないようです。 一方で,下請け企業側の問題を指摘する声もありました。まずユーザーからの声を紹介します。 システム障害が発生している状況で,「徹夜だろうがなんだろうがとにかく直せ」と運用委託先の担当者に仕事を続けさせた。管理者の交代は助言したが,相手先の上層部からも見放されたようで,最後までその担当管理者が面倒を見る,という場面を幾度も経験している。これは相手先組織の脆弱さに尽きる。本来は個人の頑張りで対応させてはいけないはずだが,下請け企業では組織がそれに付いてきていない。 続いて,下請け企業社員自らの声を紹介します。 ユーザーが一方的な要求をするのは,ユーザーから見て,その金額を支払っても我々を使いたいと思えるほどのサービスを提供できていないから。原価削減努力をするより,下請けに支払う金額を下げる方が簡単という意識を持たせてしまっている。 最後に単価の引き下げを撤回させたという下請け企業社員の方の経験談もありました。示唆に富んでいる事例として紹介します。 (契約破棄を匂わせながら元請け会社から値下げ要求を受けた際に)パートナーの立場として無理な値下げを迫れば,下請けの事業が成立しなくなる。そうなれば,プロジェクト半ばでの下請け撤退や,人員減(担当者の退職など)を招き,継続した開発やサポートができなくなる。結果として自身の首を絞めることにならないか,とねばり強く説得した。元請け会社も最後には納得し,値下げ要求は撤回された。 これらが今回のアンケートから明らかになった不当な要求や対応の実態です。日経SYSTEMSではアンケートにご回答いただいた読者の方への取材を始めています。記者のライフワークとして,取材を通じて不当な要求や対応をはね返す良策がないか,ITエンジニアが幸せに仕事をこなせる方法がないかを丁寧に探してきます。結果はこの記者の眼や,日経SYSTEMS本誌で紹介していくつもりです。 |