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日経SYSTEMS

IT業界の“イジメ”に切り込む

2007/01/26
松浦 龍夫=日経SYSTEMS

 「学校だけじゃないよ。IT業界でもいたるところで“イジメ”は存在している」---。これはあるITベンダー担当者との雑談の中で,「最近,イジメによる事件が増えていますね」と話した時に出てきた言葉です。その言葉が気にかかった記者は,複数の取材先に同じ話題をぶつけてみました。返ってきた答えは皆同じ。「IT業界に“イジメ”はある」というものでした。彼らが説明してくれた“イジメ”の一例を紹介します。

 鈴木氏(仮名)は小さなITベンダーA社のプログラマでした。今はパッケージ・ベンダーX社から開発案件を委託され,丁寧に実装している毎日でした。給料も悪くはない,休日出勤はなく労働時間もそう長くはない働きやすい環境でした。

 そんな状況が一変する出来事が起こります。突然社長が,「うちの会社はこれからX社の出資を仰ぐことになった」と言い出したのです。資金繰りが厳しくなった社長は,いとも簡単に会社を明け渡したのでした。それから労働環境は悪くなりました。まずX社の傘下になり給料は下がりました。また,パッケージ開発においても長時間労働を強いられるなど,X社のA社プログラマに対する扱いが悪くなりました。

 それでも鈴木氏は必死で働いています。退職すれば,必死で開発しているほかのメンバーの負担がさらに重くなってしまいます。今取りかかっているパッケージ開発を途中で投げ出したくないエンジニアとしてのプライドもあります。もちろん,次の職が見つかるまで給与がなくなってしまうことも頭をよぎりました。

 この例以外にも,「ユーザー企業が,ITベンダーに無償での追加開発を無理強いする」,「システムの不具合が生じた責任を,正社員が派遣社員だけに押し付ける」,「案件を発注しなくなる可能性をちらつかせながら,何度も人月単価の引き下げを要求する」といった“イジメ”の話を聞くことができました。これらに共通する構図は,ユーザー企業とITベンダー,元請けのITベンダーと下請けのITベンダー,システム・エンジニアとプログラマ,開発担当者と運用担当者など「立場の差を背景にして不当な要求や対応を迫っている」というものです。

 ITエンジニアが,幸せに仕事を全うできるようにする。そのためには,不当な要求や対応がまかり通る業界のままではいけない。そこで,記者として何かできることはないかを考えました。そして,遭遇した“イジメ”からたくましく,したたかに脱出した方の話を取材して,それを記事で紹介することにしました。同じような“イジメ”に遭っている立場の方に,脱出のための何らかのヒントを提供できないかと考えたためです。また,不当な要求や対応を迫る側の人に,そうした記事を読んでもらうことで,これまで気づかなかった側面に気づいてもらいたい,という狙いもあります。

 上記のような記事を書くための第一歩として,読者の皆様のお力をお借りできないかと考えています。不当な要求や対応の実態を明らかにするアンケートを実施しています。そちらに読者の皆様が経験,または目撃した“イジメ”の実例として,不当な要求や対応をご記入いただけると幸いです。

 アンケートにご協力いただける方は,こちらのアンケート回答サイトをご利用くださいますようお願いします。 

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