以前,この記者の眼で「編集部のブックマーク大公開!」と銘打って,日経SYSTEMS 編集スタッフのブックマークを公開した。

 今回のタイトルは,そのときのタイトルに倣ったものだが,ひょっとしたら有益なURLをブラウザにブックマークしているITエンジニアは,今や少数派かもしれない。日経SYSTEMS 8月号に掲載した「第一線の現場技術者が参考にするWebサイト101」の取材でそう感じた。

 ブックマークを使わなくても,Webサイトからの情報収集/管理術には色々なやり方がある。まずは,現場のITエンジニアが実践している,主なものを三つ挙げよう。

1.検索サイト
 分からないことや知りたいことがあれば,何はともあれGoogleなどで検索する。「あのコードはどう書くのだっけ?」「提案に役立つ材料はないかな?」といったちょっとした疑問が日常業務の中では多い。そんなときに検索サイトが役に立つ。

2.ブログ/SNS(Social Networking Service)
 他の人のブログや会議室を巡回するだけでなく,自分のブログや会議室で情報を発信し,付けられたコメントやトラックバックをたどって関連情報を入手する。自分の関心に直結する情報を得やすい。

3.RSS/オンラインRSS
 わざわざ自分でWebサイトを巡回しなくても,更新の有無が分かる。IEの次期版には標準でRSSリーダー機能が付属するため,今後このパターンはますます増えるだろう。また,Webサイト側で更新の有無をチェックして知らせてくれるオンラインRSSを利用すれば,通常のRSSよりも管理が楽になる。

 注目したいのは「2.ブログ/SNS」である。日経SYSTEMSにもよくご登場いただく平鍋健児さん(チェンジビジョン 代表取締役社長),矢沢久雄さん(グレープシティ アドバイザリースタッフ),小森裕介さん(SMG オブジェクトフレームワークディビジョン テクニカルコンサルタント)など,自らのブログで情報を発信する人が増えてきている。彼らのブログにはコメントやトラックバックも豊富に付いており,ご自身の興味に直結した情報が集まってきていることがよく分かる。

 情報セキュリティの第一人者であるラックの三輪信雄社長は「日経オープンシステム」2001年4月号で次のようにコメントしている(当時の肩書きは,コンピュータセキュリティ研究所 取締役所長)。

「情報は発信する人に集まるということ。情報が欲しい,人脈を作りたいと思ったら,自分がメンバーの中心になればいい。情報が“欲しいだけ”の人には本当の情報は集まりません」

 この記事から5年半経った今,このような考え方や情報収集スタイルがITエンジニアの間に定着してきたわけだ。日経SYSTEMSでセキュリティ問題の最新動向を解説する「ここが危ない!」を連載中で,複数のサイトを運営する濱本常義氏(connect24th 管理人)も,「情報は鮮度が古くなってすぐ腐ってしまうため,腐るくらいなら無償で情報発信するようにしている。情報は発信すればするほど大きくなって帰ってくる。ボランティアで情報発信していても,トータルで見ると情報収支は十分に合っている」と話す。

 SNSやブログを一過性のブームととらえる人もいる。しかし,ITエンジニアにとっての仕事のスタイルが,これらの存在を前提としたものになってきているだけに,そう簡単に終息するとは考えにくい。もちろんブログやSNSの情報は,個人の思い込みによる間違いや匿名性による問題も多く,信頼性には大いに不安がある。重要な意思決定に耐えるだけの情報を,ブログやSNSで得られるかと言えば,今は難しいだろう。その一方で,日常業務の中で生じるちょっとした疑問を解消したり,アイデアに行き詰まったときのヒントを探すなどの用途であれば,十分役に立つ。

 で,最後に改めて,日経SYSTEMS 8月号特集「第一線の現場技術者が参考にするWebサイト101」である。雑誌に掲載したITエンジニアのリンク集は,日経SYSTEMSのWebサイトでも公開している。第一線の現場技術者や日経SYSTEMSの強力執筆陣に,お役立ちサイトを挙げていただいたものである。言うまでもなく,ブラウザのブックマークからだけでなくRSSに登録しているサイトやトラックバックをたどって知った有益なサイトを含む。「編集部のブックマーク大公開!」のアンケートで回答していただいたWebサイトも,いくつか加えてある。

 面白そうなサイトがあれば,クリックしてみてください。