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記者の眼

“火消し”はつらいよ

西村 崇=日経SYSTEMS 2006/05/23 ITpro

 「客先で,あるプロジェクトの“火消し”に入ったときは,精神的にも肉体的にも非常に辛かった。顧客との折衝の場面が,夢にまで出てくることもあり,休んだ気がしなかった」。ウルシステムズの平光利浩氏(シニアコンサルタント)は,ある危機プロジェクトにプロジェクト・マネージャとして参画したときのことをこう振り返る。

 平光氏が入ったプロジェクトは,システム開発の作業が予定通りのスケジュールで進まないうえに,開発コストが当初予算をオーバーしていた。そのうえプロジェクトで取り組むべき開発の範囲もあいまい。まさに“火を噴いている状態”だった。「ユーザー企業との関係が悪化し,その担当者に陳謝しながらプロジェクトを進めていかなければならなかった」と平光氏は振り返る。

 そんな状況でも「『何としてもプロジェクトを成功させたい』という気持ちを強く持って話し合いに臨めば,必ず分かってもらえる。そうすれば問題の解決策が見え,ユーザー企業の担当者やプロジェクト・メンバーも問題解決に協力してくれる」。平光氏はそう確信して,プロジェクトの問題把握,問題を引き起こした原因の特定,解決策の検討,解決策実行,といったことに地道に取り組んだ。

 すると徐々にプロジェクトに明るい兆しが見えてきたという。「プロジェクト・メンバーから『良くなってきた』『何とかなるかもしれない』といった声が聞こえてきた」(平光氏)。そして,ついには危機を回避し,プロジェクトを無事終わらせることができた。「火消しという自分のミッションを遂行できて,とてもよかった。この経験を通して,プロジェクトが火が噴かないようにするにはどうしたら良いかを考えることができ,プロジェクト・マネージャとしての実務に役立っている」と平光氏は話す。

プロジェクト・メンバーに余裕がない


 平光氏が支援したプロジェクトのほかにも,危機に直面して火を噴くシステム開発プロジェクトは数知れない。その対策として,大手システム・インテグレータの多くでは,プロジェクトを危機的状況に追い込まないために,プロジェクトを円滑に進める上での「ルール」をまとめている。

 例えば,「プロジェクト・メンバーによる定期的な打ち合わせの場を必ず設ける」「プロジェクト管理の計画書を作成してから,プロジェクトを始める」といった,プロジェクトマネジメントの基本的なことを規定したルールが多い。これらのルールを守り実践することで,大きな問題に発展することを防ぐわけだ。

 しかし現実を見てみると,危機に直面したプロジェクトでは,これらのルールがあまり守られていない。プロジェクト・メンバーにルールを守る余裕がなくなっているからだ。日立製作所の澤田友宏氏(プロジェクトマネジメント本部 プロジェクトマネジメントエンジニアリング部 部長)は「プロジェクト・メンバーにとって,ユーザー企業の担当者との打ち合わせが優先され,プロジェクト内部の管理業務が後手に回る傾向がある」と指摘する。

 メンバーも内心は,守らなければならないルールを無視していることに後ろめたさを感じているものの「お客様のために時間を割かなくてはならないのだから,ルールを守れないのは仕方がない」と割り切ってしまうという。

ユーザー企業との折衝を肩代わり


 ユーザー企業の担当者との打ち合わせに時間をかけすぎて,プロジェクト内部の管理が手薄になる——。そのような事態に陥ったプロジェクトを立て直すにはどのようにすればよいだろうか。

 システム開発プロジェクトの火消しを請け負っているローリーコンサルティングの文山伊織氏(代表パートナー)は,あるシステム・インテグレータから危機プロジェクトの立て直しを依頼されたとき,これまでインテグレータのプロジェクト・メンバーたちの仕事だった,ユーザー企業の担当者との折衝を肩代わりした。

 ユーザー企業の担当者との折衝は,メンバーにとって精神的に最も大きな負担を強いる作業だった。その作業を文山氏が引き受けることで,「メンバーは,設計書の内容を厳密にしたり,テストを網羅的に行うといった,プロジェクトを終わらせるための作業に集中できる」と文山氏は説明する。

 プロジェクト・メンバーの仕事の負担を減らすことで,プロジェクトの危機を回避した例は他にもある。日本ユニシス・ソリューションの松田勇氏(産業流通第二サービス本部 本部長)は,あるオフショア開発プロジェクトを統括した際,開発を依頼したプログラムの品質が低いという事態に直面した。依頼したとおりにプログラムの例外処理が実装されていなかったり,あらかじめ定めたコーディング規約に沿ってプログラミングされていなかったのだ。

 プログラムの品質を引き上げるために,松田氏は,日本にいた開発プロジェクトのメンバー約15人を中国のオフショア先に派遣。現地の担当者がプログラムの品質を上げる作業に専念できるように,これまで現地の担当者が行っていた,進ちょく管理や品質管理を,派遣メンバーが一手に引き受けるようにした。

 さらに,担当者が作業中に抱いた疑問をすぐに解消できるように,文書で疑問を受け付け,最短でその日のうちに回答する仕組みも導入。「納期と品質を確保するために非常に厳しいスケジュールを立てなければならず,メンバーに相当な負担をかけたことは,マネージャとしてつらかった。だが,メンバーが一丸となって壁を乗り越えられたのは何よりよかった」と,松田氏は振り返る。

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