2006年4月1日から,東京,大阪,名古屋の3大都市圏を中心にサービスが始まる予定の地上デジタル放送「ワンセグ」。すでに試験放送は始まっていて,2006年に入ってその放送を視聴できる携帯電話機も出てきた。

 先行しているのはKDDIのau陣営で,三洋電機のW33SAと,日立製作所のW41Hはすでに入手できる状態だ。続いて3月にはNTTドコモがワンセグ対応携帯電話機の新機種を大々的に発表する見通しで,松下電器産業の「FOMA P901iTV」などが発表されるはず。このほか,シャープも年頭の記者会見でワンセグ対応携帯電話機の商品化を計画中だとしている(参考記事)。

 「ワンセグ」とは,地上デジタルテレビ放送を携帯電話機などでも受信できるようにするサービス。ノイズなどに強い符号化方式を採用しているので,ビルの谷間や移動中での視聴に強いと言われている。

 実際,ワンセグ放送だけでなく,アナログTV放送も受信できる三洋のW33SAを記者が使ってみたところ,画質には雲泥の差があった。アナログ放送だと,室内を少し歩き回るだけで画像が乱れたが,ワンセグ放送だとそのようなことはほとんどなかった。携帯でTV放送を見るなら,ワンセグにしない手はない,と思ったほどだ。ただ,試してみた場所は東京タワーから数kmしか離れていなかったので,どんな場所でもそうだとは言い切れない。

 メーカーの技術者にその辺りのことを聞いてみると,「東京タワー近辺なら大丈夫だが,電波がぎりぎり届く横須賀市辺りだとブロックノイズが入ったり,画像が全く表示されなかったりするケースがある。このときにアンテナの善し悪しが分かる」と教えてくれた。

 では,アンテナがどうなっているかを調べてみた。W33SAはアンテナを縦に延ばすタイプ,日立のW41Hは半固定,松下のFOMA P901iTVは縦に延ばしたアンテナを折り曲げられるようだ。この違いが使い勝手と画質にどれくらい影響するのか---。

 また,ワンセグ対応携帯は,放送番組を録画する機能を備えている。ただし,著作権などの問題がクリアされていないため,初期の機種は録画データを内部に蓄積するだけで,外部のメモリーに記録したり,ほかの機器へのコピーはできないようだ。

 このほか,ワンセグ放送では,動画と同時にBML(broadcast markup language)という言語で記述されたデータも配信される。放送中の番組に関する付加情報などを配信するために使われる。このデータ放送をTV動画と同時に録画できるかどうかは,機器によって違いが出そうだ。

 3月中には,各社のワンセグ対応携帯が出そろい,実際に試用できるだろう。そうしたら,もっと詳しいレポートをお届けするつもりである。3月1日のITproリニューアル後には,「ワンセグ」に焦点を当てたフォーカス・サイトを開設する予定なので,そちらを参照してほしい。

三輪 芳久=IT Pro