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 「団塊の世代はとっくに現場から去っている。今さら2007年問題など存在しない」「重要な問題だ。対策が必要だが,これといった解決方法が見つからない」「ベテランの在籍中にシステムを再構築しドキュメントを整備した。対策は概ね完了した」「2007年問題はメインフレームの問題。最初からオープンシステムで開発しているウチの会社には関係ない」・・・。

 この欄でも何度か取り上げられている2007年問題には,さまざまな声がある。一般的には,1947年から1949年生まれの「団塊世代」が企業から大量に退職することで発生する問題を指す。情報システムの分野では,コンピュータの黎明期から企業システムを支えてきた団塊の世代が抜けることで,既存システムを引き続き安定稼働させられるのか心配されている。彼らは業務にも精通し,コンピュータの基礎も分かり,方法論を作り上げてきた,叩き上げの職人たちである。

 本当に2007年問題は起きるのか。または既に起きているのか。素朴な疑問を持った。取材を進めるにつれ,2007年問題にとどまらないシステム引き継ぎの苦労と心配が明らかになってきた。思っていた以上に,現場では面倒なことがたくさん起きている。このテーマを追求するべく,日経システム構築では特集のテーマとして「システムの引き継ぎ問題」について現在取材を進めている。

 問題が大きいだけに,限られた取材では大きなトレンドを判断しにくい。改めてここでIT Pro読者の意見を求めたい。まずは取材の途中経過から,編集部としての問題意識を紹介する。

同じようなシチュエーションはいくらでもある

 開発した人がいなくなった後も,業務が続く限りそのシステムの保守や機能追加,障害対応,再構築は続けていかなければならない。開発した当事者が次の世代に引き継がなければ,安定稼働は期待できない。引き継ぐべきは,コーディングやチューニング,プロマネなどのスキル,要件定義や設計思想など稼働中のシステムの概要,担当者やファイルの所在など事務連絡事項があろう。

 こうした引き継ぎは,団塊世代の引退に限った話ではなく,異動や出向など日常の人事,転職,開発から保守への引き渡しなど多様なシチュエーションでいつでも起こる。引き継ぎがうまくいかなければ,障害からの復旧に手間取ったり,再構築に苦労したりするなど問題として表面化する。700万人とも言われる団塊世代の引退は,スケール感において圧倒的にインパクトが大きく,企業内の問題にとどまらない社会現象にまで広がりを見せるために,引き継ぎ問題の象徴として注目を浴びているのである。

 取材では,システムの引き継ぎに際して現場担当者が頭を抱える問題が多数出てきた。実際の事例の中から,いろんな現場でいかにもありそうなものを3つ紹介しよう。

(1)前任者から保守を引き継いだがシステムの中身が分からない。改修できる?

 地方自治体のA氏は業務システムの保守を引き継いだ。中身はファイル・サーバーやWeb/メール・サーバーなどが中心で,複雑な業務ロジックはない。しかし,急な異動だったので,引き継ぎの期間は実質3日間。最低限のシステム構成や日常の運用は分かったものの「OSのバージョンがバラバラで,それぞれがどんな設定になっているかが分からない。どのサービスが使われているかも分からない」(A氏)状態だった。かと言って業務は止められないから,システムを停止することもできない。いったい,どこから手を付ければよいのだろう。

(2)ホストを再構築することになったがドキュメントがない。要件定義できる?

 金融機関のB氏は,今は会社を去った前任者が開発した業務システムの再構築を任された。エンドユーザー要件はなるべく変えずに,老朽化したスクラッチ開発のシステムを業務パッケージ・ベースの新システムに入れ替えるのが目的だ。ところが現行システムのドキュメントがすべては残されていなかった。残っているドキュメントにも,改修の履歴が反映されていなかった。「現行システムの機能を把握しないと,要件定義さえできない」(B氏)。こんなときは,どうすればよいのだろう。

(3)現場叩き上げのベテラン技術者が今年退職する。後進に何を残せばいい?

 4年後に定年退職するC氏の心配は「システム開発のノウハウやスキルを残せているか」ということ。若手でも現行システムは問題なく保守していける。しかし,いずれはそれを捨て再構築する日が来る。新たなプロマネやリーダーは,経営者を説得して予算を獲得し,ステークホルダーの利害を調整し,品質を確保し,進捗を管理し遅延があれば取り戻す必要がある。自分にはこれらを経験したノウハウがある。30歳代以下の世代は改修ばかりで大規模開発の経験がないから,現場で生きるプロマネのノウハウがない。自分のノウハウをどう後進に残していけばよいのだろう。

 それぞれ,根深い問題に思える。そこで,IT-Pro読者の皆様のご意見をちょうだいしたい。上記のケースと同じような経験がおありだろうか。あるとしたら,そのときにどう対処しただろうか。

1.システムの引き継ぎに際して困った経験を教えてください(自由記入)

2.そのとき,どのように対処しましたか(自由記入)

3.引き継ぎで困らないように普段から取り組んでいることはありますか(自由記入)

4.あなたの立場

引き継ぐ側  引き継がれる側  その他

5.あなたの年齢

20代以下  30代  40代  50代  60代以上

ご協力いただき,ありがとうございます。以上の内容について編集部から連絡してもよろしいですか

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 お答えいただいた結果は,IT Proで報告するほか,前述の特集に反映させるつもりである。