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記者の眼

Jobs氏は明日「AppleViiv」を発表するだろう

2006/01/10 ITpro

 米AppleのSteve Jobs会長は明日(米国時間で1月10日朝,日本時間では1月11日未明),AppleブランドのHD対応テレビまたは米Intelのメディア・パソコン規格「Viiv」に対応したパソコンをMacworld Expo San Francisco 2006で発表するだろう。これはあくまで,記者の予測である。AppleやIntelは何もコメントしていない。記者がこのような予測をした根拠は,前掲記事「【CES2006】浮き彫りになったホーム・ネット戦国時代の構図,米AppleもIntelのViiv対応機発表か? 」に示した。ぜひご一読いただきたい。

 今回の記者の眼は,記者の予想が事実になったという仮定のもと,AppleがIntelとViivを支持した理由を分析するという非常に荒唐無稽なものだ。その点をご了解の上で,読み進めていただければ幸いである。

 AppleがViivを支持した理由を語るキーワードは「DTCP-IP」である。DTCPとは,コピー・ガードがかかったコンテンツを適切にコピーする際の業界標準技術で,DTCP-IPはそれをIPネットワークに拡張したものだ。前掲記事ではViivのことを「ただのテレビ・パソコン規格ではなく,コンテンツ流通までを規定したホーム・ネットワーク規格」と述べたが,Viivではホーム・ネットワーク内で著作権保護を働かせたまま配信する際に,DTCP-IPを使用する。

 とはいえ,現在コピー・ガードされているコンテンツのすべてにDTCP-IPが採用されているわけではない。米Microsoftは「Windows Media DRM」という著作権管理(DRM)技術を使ったコンテンツ配信を進めているし,Appleは「FairPlay」を担いでいる。米DivXも「DixV DRM」を持っている。

 Intelが提唱するホーム・ネットワークであるViivの特徴は,コピー・ガードされているコンテンツをホーム・ネットワーク内で配信する際に,各社が実装するDRMをすべてDTCP-IPに変換することだ。変換するソフトウエアは,各DRM技術のベンダーが開発することになっている。こうすれば,Viivのホーム・ネットワークは,あらゆるDRMコンテンツの配信に対応できる。

 AppleがViivを採用するのではないかと記者が考えた根拠の1つが,Viivのホーム・ネットワーク内では各種のDRMをDTCP-IPに変換するという仕組みになっていることである。

 Appleがホーム・ネットワークに進出する場合(テレビにリーチすると言い換えてもいい),どのような形態が現実的だろうか。iPodとiTunesの関係のように,コンテンツ配信も再生するクライアントもApple製品で独占したいのなら,ホーム・ネットワークにつながるすべてのコンポーネントをApple製品で置き換える必要が生じるだろう。

 これは,あなたの家にあるシャープの液晶テレビ,松下電器産業のHDDレコーダー,ソニーの「PlayStation」,その他もろもろのテレビ/ビデオ機器を,Apple製品に買い換えるということである。あなたがAppleの熱狂的なファンであれば,喜んでそうするかもしれない。しかし,ほとんどの人の答えは「ノー」だ。大体,Apple1社でそうした製品すべてを供給できるわけがない。

 AppleがAppleファン以外の人をも対称とするホーム・ネットワークに進出する際には,他メーカーのAV機器と連携できる仕組みが欠かせない。最も単純な図式は,Appleが他社に対してFairPlayをライセンス供与するか,他社のAV機器でFairPlayコンテンツを再生できるよう自社でプログラムを開発する,というものである。こうすれば,他社のAV機器上でiTunes Music Store(これはiTunes Storeになるだろう)が販売するコンテンツの再生が可能になる。

 ただ,AppleがFairPlayを他社にライセンス供与する可能性は低い。「iTunes Music Storeで買った音楽コンテンツを再生できるiPod互換機」の誕生につながりかねないからだ。IBM PC(IBM互換PC)が米IBMのものでなくなったのと同じように,iPodがAppleのものでなくなる可能性が出てくる。また,,他メーカーのAV機器向けに自社でプログラムを開発する,というのも現実性が薄い。全世界のAV機器で単一のOSが使われているなら,FariPlay対応プレーヤの移植作業はさほど困難でないだろうが,実際にはWindowsやLinuxといった多様なOSへの対応が必要になるためである。

 それに対してViivのホーム・ネットワークならば,FairPlayではなくDTCP-IPが使える。AV機器にDTCP-IPの機能を実装するのはハードウエア・メーカー側の仕事であり,AppleはFairPlayをDTCP-IPに変換するプラグインを開発するだけでいい。iTunes Music Storeで販売された動画を再生できるデバイスは増加するが,FairPlayとiPodの神秘性(音楽プレイヤとしてのiPodの優位性)は守られる。

 もう1つ,DTCP-IPには追い風が吹いた。2005年秋,デジタル・テレビ放送のコンテンツは,DTCP-IPを使うのであれば,ホーム・ネットワーク内で再配信できるようになったのである。

 デジタル・テレビで再生するコンテンツ(特にHDコンテンツ)の配信メディアは,インターネットだけではない。HD DVDやBlu-rayといったパッケージ・メディアも重要だが,それ以上に重要なのは,やはりデジタル・テレビ放送であろう。Viiv対応メディア・パソコン(Intel Mac機を含む)であれば,デジタル・テレビ放送のコンテンツを録画し,それをホーム・ネットワークに配信できる。これは大きなアドバンテージである。

 AppleがViiv対応パソコンを出すというのは,記者の推測である。しかし,(1)AppleがHD動画配信に参加しない理由がない,(2)FairPlayをホーム・ネットワークに持ち込むのは非常に困難,という条件から考えをめぐらせたときに,AppleのViivへの参加は,実に自然なものに思えてくる。

 ホーム・ネットワークを狙っているのはIntelだけではない。しかし,AppleがWindows Media DRMおよびWindows Media Centerで固めたMSのホーム・ネットワークや,コンテンツ制作からハードウエア,ソフトウエア,デバイスまで自社で固めようとするソニー陣営に参加するとも思えない。

 Steve Jobs氏の基調講演は,前述の通り米国時間で1月10日朝,日本時間では1月11日未明である。

中田 敦=IT Pro

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