日経ソリューションビジネス11月15日号に特集「ユーザーへの直言・ソリューション営業210人に聞いた困った客の“傾向と対策”」を掲載した(記事の一部をこちらで参照できます)。その記事を作成するため,アンケートやインタビューを通じて,営業担当者にユーザー企業に対する要望等の本音を語ってもらった(取材やアンケートにご協力いただいた営業担当者の皆様にこの場を借りて御礼を申し上げます)。
日経ソリューションビジネスでは,毎号連載の「ユーザーの直言」や毎年恒例の特集「CIOの直言」などで,ユーザー企業側の意見をたびたび紹介している。読者であるソリューションプロバイダ(システムインテグレータ,コンピュータメーカーなどITサービス企業)に対する要望が中心であるが,耳が痛くなるような意見も散見される。ユーザー企業から直接本音を聞く機会が少ないソリューションプロバイダにとって,参考になる部分が多々あると思う。
ここで,以前取材したある大手企業のCIOの言葉を思い出した。「ソリューションプロバイダも我々に遠慮しないで発言してほしい」。
ソリューションプロバイダから,ユーザー企業に対する発言を誌面で紹介したことはこれまでほとんどなかった。アンケートでは,営業担当者から客に対して「パートナーとして見てほしい」という意見が多数寄せられた。「いいシステムはお客様とベンダーとで一緒に作り上げていくものだ,という認識を持ってほしい」というのが,代表的なコメントだ。
ユーザー企業側とソリューションプロバイダがお互いの立場を理解し合うことが,パートナーとなるための第一歩と言えよう。このためには,ユーザー企業から言われっぱなしになるだけではなく,言うべきところでは,ソリューションプロバイダもユーザー企業に対して率直に意見を述べる必要がある。
アンケートでは,これまでの営業活動の中でこんな客に悩まされたという困った客のパターン,客と良好な関係を築くために有効な方策,客に対して言いたいことや理解してほしいこと---を聞いた。このうち,「客に対して言いたいことや理解してほしいこと」は選択形式ではなく,文章を自由に記入にしてもらった。集まったのは,冒頭に記したように,ユーザー企業に対するソリューションプロバイダの営業担当者の本音である。ユーザー企業に対してこれだけは理解してほしいと願っていることのいくつかを紹介しよう。
最後に次のコメントを紹介したい。「“言っていただける関係”をうまく作ることが,営業担当者として最も大事なポイントになります」。双方が一致団結してはじめて,優れたシステムができ上がる。逆に,互いに要求や要望を主張するだけの一方通行の関係では,成果はほとんど期待できない---のであれば,互いの理解を深め,本音で語り合えるというチェック・ポイントを目指し,要所要所で相手の立場でものを考えることを習慣づけてはいかがだろうか。