写真●エステー取締役会議長兼代表執行役会長の鈴木喬氏
写真●エステー取締役会議長兼代表執行役会長の鈴木喬氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「イノベーションの実現は難しくない」――。エステーの取締役会議長兼代表執行役会長の鈴木喬氏(写真)は、2014年7月4日、都内での開催中の「IT Japan 2014」でヒット商品や改革について講演した。「IT Japan 2014」は日経BP社が2014年7月2日から4日にかけて東京・品川プリンスホテルで開催中のイベント。

 鈴木氏は講演の冒頭で「周囲から『やめろ』、と反対されたことを実行するべき」と語り、ヒット商品を生み出す戦略を解説した。

 エステーは「売上規模が500億円ほどの中堅企業」(鈴木氏)。競合他社の売り上げは1兆円以上であり、対抗するには「ニッチな分野でナンバーワンになることが重要だ」(鈴木氏)と考えたという。既に確立された汎用製品の市場は狙わずに、従来には無い商品を開発することで新しい市場の開拓を目指した。

 例えば、20年以上前に発売した除湿剤の「ドライペット」。新市場を切り開いて、同社の主力商品に育った。ニッチな市場に特化した商品の例としては、お米用の防虫剤「米唐番」がある。日本をはじめとした米の生産量が多い国をターゲットに開発した。

 市場のニッチさ、商品の新しさだけでなく、商品力を高める工夫もする。例えば、消臭剤「消臭力」は強力さが売り。「効き目が目で見て分かるようなデザイン」(鈴木氏)を目指して作った。鈴木氏は、こうした商品について、新しい顧客を獲得するためにニーズを探って開発に取り組み続けてきた成果であるとした。