写真●富士通 執行役員常務CTO(最高技術責任者)&CIO(最高情報責任者)の川妻庸男氏(写真:井上裕康)
写真●富士通 執行役員常務CTO(最高技術責任者)&CIO(最高情報責任者)の川妻庸男氏(写真:井上裕康)
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 「ビッグデータとIoT(Internet of things)によって、産業革命に匹敵する変化がこれから起こると、私は確信している」。富士通の川妻庸男執行役員常務CTO(最高技術責任者)&CIO(最高情報責任者)は、日経BP社が2014年7月2日から4日にかけて東京・品川プリンスホテルで開催したイベント「IT Japan 2014」でこう話した(写真)。

 川妻常務は「ビッグデータとIoT~不連続な世界~」と題した講演に登壇。膨大なデータの分析やセンサーデータの活用、機械学習の活用により、今までにないことが可能になった事例を数多く紹介した。

 データ分析の事例として、同社の顧客企業である、食品関係の大手企業の取り組みを話した。その企業は、以前は商品の売り上げに影響する要因の仮説が成り立っていたが、最近はどんな要因で売り上げが変動するのかが分からなくなってきたのだという。そこで富士通は顧客企業が持つ商品データに加え、その商品とは関係ない、野菜、果物、精肉、鮮魚などの食品の価格や流通量のデータ、各地の気象データなど合計約1300種類のデータを集めた。

 「このような場合、何が関係するか分からないので、とにかく集められるだけのデータを集める。このケースで1300種類が十分なデータ量かどうかは私たちにも確信はない」(川妻常務)。

 全データの変化を時系列に1年間分並べ、各データ間での相関関係を調べたところ、ある一時期は「バナナの取引量」と相関が高かった。またあるときは「東北地方の最低気温」との相関が高く出た。「この分析からは相関関係は分かるが、因果関係は分からない。つまり、なぜこのような結果になったのかを考えるのは人間だ。その代わり、人間が考えたらバナナの取引量や東北地方の最低気温を調べようとも思わない。ここにコンピュータと人間の住み分けができる」(川妻常務)。

 センサーデータの活用として、富士通が進める農業クラウド「Akisai」の事例を示した。各種センサーから取り込んだデータを分析したことにより、糖度の高いブランドみかんの取れ高が、取り組みから2年目で2倍に伸びたという。