写真●SAPジャパン代表取締役社長の安斎 富太郎氏
写真●SAPジャパン代表取締役社長の安斎 富太郎氏
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 「ITを活用して組織や業務プロセスをよりシンプルにすることが、新たなイノベーションの創出やの企業の成長につながる」――SAPジャパン代表取締役社長の安斎 富太郎氏(写真)は2014年7月4日、日経BP社が東京・品川プリンスホテルで開催中のイベント「IT Japan 2014」で、「シンプリフィケーションからはじまる2020年代に向けての経営とIT」と題して同社が目指すITシステムの進化の方向性を語った。

 安斎氏によると、コンピュータの性能が著しく発達したことで、ITは昔に比べてはるかに低いコストで、多様な機能を実現できるようになった。例えば、最初にコンピュータという名前で呼ばれた計算機は1946年に開発された「ENIAC」(Electronic Numerical Integrator and Computer)である。

 この時のENIACの処理速度は、0.05MIPS(Million Instructions Per Second)。サイズは非常に大きく、約27トンもの重さがあった。一方、現在普及しているiPadの処理速度を当時の単位に換算すると2万MIPSにもなる。片手で扱えるタブレット端末で、はるかに大きな処理ができるようになったわけだ。

 ところが性能が向上して機能が増え、「便利になった一方で、ITの複雑性はどんどん増している」(安斎氏)。これが新しいイノベーションの創出を阻む、一つの原因になっているという。