写真●セールスフォース・ドットコム代表取締役会長兼CEOの小出伸一氏(写真:井上裕康)
写真●セールスフォース・ドットコム代表取締役会長兼CEOの小出伸一氏(写真:井上裕康)
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 「システムを検討するのであれば、まずクラウドを第一優先に考える。そう考える経営者が増えてきた。インフラのコストを削減するツールから、イノベーションのための基盤へと、クラウドの位置付けが変化してきている」。

 日経BP社が2014年7月2日から4日にかけて東京・品川プリンスホテルで開催中のイベント「IT Japan 2014」に、セールスフォース・ドットコム代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)の小出伸一氏が登壇。「Welcome to the Internet of Customers。新しいカタチで顧客とつながる」と題して講演し、同社のクラウドサービス「Salesforce1」と国内企業での活用事例を紹介した(写真)。

 小出氏は、コンピューティングにおける第3の波について紹介した。第1の波が1960年代からのメインフレーム、第2の波が1980年代からのオープン系システム、そして第3の波がクラウドである。メインフレームの時代には数千台の端末が接続、オープン系になると数百万のPCが接続、さらにクラウドの時代になると「20年には750億個のデバイスがつながるようになる」(小出氏)。

 多くのデバイスがクラウドを介してつながる事例として、小出氏は、クルマの状況をクルマ自身がSNSにつぶやくトヨタ自動車のサービス「TOYOTA friend」を紹介した。また、オランダ・フィリップスは、電動歯ブラシをネット接続し、日ごろの歯磨きの状況をクラウド経由で把握。それを歯科医などが参考にするといった取り組みをしているという。

 こうしたモノがつながる時代を見据え、同社は2013年に新しいサービスプラットフォーム「Salesforce1」を投入している。スマートフォンなどモバイルからのアクセス機能を強化したのが特徴で、既に国内でもパソナグループやリクルート住まいカンパニー、バーニーズ ジャパンといった企業が活用しているという。特に、バーニーズ ジャパンはセールスフォース・ドットコムが2014年6月に提供を開始したばかりのサービス「ExactTarget Marketing Cloud」を既に活用している。

 最後に小出氏は、「CEOに就任して以来の70日間ほどで、50社ほどの顧客と意見交換した。金融系のユーザー企業では10~20年と稼働し続ける基幹系もあるが、そうした企業でも顧客と接するフロント系のシステムでは、クラウドのような俊敏さを備えたインフラを求めている。こうしたところで当社のクラウドが生きる」と解説し、講演を締めくくった。