米電子プライバシ情報センター(EPIC)は現地時間2014年7月3日、米Facebookが実施した感情伝染の実験について、米連邦取引委員会(FTC)に苦情を申請したことを明らかにした。EPICは訴状(PDF文書)において、「Facebookが故意にユーザーの心理を動揺させた」と主張している。

 Facebookは2012年1月に、投稿内容がユーザーに与える心理的影響を調べる実験を実施。68万9003人のユーザーを対象に、ニュースフィードに掲載される友達などからの投稿を調整した。実験結果をまとめた論文が米国科学アカデミー紀要(PNAS)で公開されたことで、同社がユーザーの了解を得ずに実施した同実験が6月末に広く知られる事態となり、大きな物議を呼んでいる(関連記事:Facebookが約70万人のニュースフィードを操作、感情伝染の実験)。

 実験を主導した同社データサイエンティストが釈明と謝罪を自身のFacebookアカウントから投稿したほか(関連記事:Facebookの感情伝染実験に非難の声、研究者が謝罪)、同社のSheryl Sandberg最高執行責任者(COO)もインドのテレビ局のインタビューで「伝え方が悪かったことを謝罪する。決してユーザーを混乱させるつもりはなかった」と述べた(関連記事:FacebookのCOO、感情伝染の実験について「伝え方が不十分だった」)。

 EPICは、Facebookが調査の実施について事前にユーザーの了承を得ず、ユーザーのデータが研究者に開示されることを知らせなかったと批判し、「Facebookのデータ乱用は欺瞞的慣行にあたる」と述べた。

 またEPICは、Facebookが2011年にプライバシー問題に関してFTCと結んだ同意審決に違反しているとの見解も示し(関連記事:FacebookがFTCと和解、プライバシー設定をオプトイン方式に)、ニュースフィードのアルゴリズム公開を含む制裁措置をFacebookに命じるようFTCに求めた。

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